2007/04/24(火) 15:43:55 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-335.html
山内昌之『歴史学の名著30』(筑摩書房:ちくま新書、2007年)
佐々木毅『政治学の名著30』(筑摩書房:ちくま新書、2007年)
山内の方が圧倒的に面白い。私が歴史学より政治学に比較的詳しいだけ点が辛くなっている分を差し引いたとしても、そうである。パラパラと見遣る限りでは、佐々木の方は、いかにも教科書的な説明的文章になっており、記述も味気ない。それに対して山内は古今東西の歴史書を公平かつ巧みな筆致で魅力的に描いており、読み物として値している。佐々木の選を謗るつもりもないが、山内の方が選考基準をより明快にしており、読者が納得しやすい配慮が払われている。物語として、あるいは現実としての歴史についての語りに交ぜられる、学問としての歴史学の視座から注がれる視線も、良い塩梅を感じさせた。ほとんど読んでいない「歴史学の名著」への読書欲を駆り立てられながら、しかし私の頭は何故か「政治学の名著30」の私撰案へと向かうのであった。ということで、以下。
Ⅰ.政治と闘争
孫武『孫子』
ニッコロ・マキァヴェッリ『君主論』
マックス・ヴェーバー『職業としての政治』
カール・シュミット『政治的なものの概念』
Ⅱ.国家と政治
プラトン『国家』
アリストテレス『政治学』
トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
ジョン・ロック『市民政府論』
ジャン・ジャック・ルソー『社会契約論』
モンテスキュー『法の精神』
Ⅲ.民主政
ジョン・ジェイ/アレクサンダー・ハミルトン/ジェイムズ・マディソン『ザ・フェデラリスト』
アレクシ・ド・トクヴィル『アメリカのデモクラシー』
ハンス・ケルゼン『デモクラシーの本質と価値』
カール・シュミット『現代議会主義の精神史的地位』
Ⅳ.近代の法・経済・政治
アダム・スミス『国富論』
エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル『法の哲学』
カール・マルクス『資本論』
Ⅴ.全体主義と政治
フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク『隷従への道』
ハンナ・アレント『全体主義の起原』
丸山眞男『現代政治の思想と行動』
Ⅵ.国家と権力
吉本隆明『共同幻想論』
ロバート・ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』
ミシェル・フーコー『知への意志』
Ⅶ.自由
ジョン・スチュワート・ミル『自由論』
アイザイア・バーリン『自由論』
Ⅷ.公共性
ハンナ・アレント『人間の条件』
ユルゲン・ハーバーマス『公共性の構造転換』