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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

現代芸術

コメント56はなかなか辛辣。「下手で汚く下劣なもの」が高く評価されるのは美術だけに限らず、映画や文学などでもあることで、それが「人間の真実を描いている」からだというわけだろう。しかし、真実であれば糞でも美しいということはないわけで、美術館や映画館に糞を鑑賞しに行くのはよほど物好きの変態だけだろう。
もっとも、私は現代芸術のすべてを否定しているわけではない。古典時代には無かった表現を生み出したのは現代芸術の功績であり、それは大きいと思う。それはしかししばしば病的な退廃でもあるわけで、万人に許容されるものではないだろう。いい例が、クラシック音楽は20世紀に「クラシックの中の現代音楽」が登場して以降、クラシック音楽自体がほとんど死滅したと言っていい。まあ、クラシックと現代という対立概念を一緒にすることじたい、ナンセンスであったわけだが。




50: 名無し募集中。。。 2018/08/05(日) 12:25:53.81 0
「絵画は上手くて綺麗で素敵な物でなくてはいけない」っていう思い込みはどこからくるんだろう



56: 名無し募集中。。。 2018/08/05(日) 12:27:42.61 0
>>50
下手で汚く下劣なものになんの価値があるのか




63: 名無し募集中。。。 2018/08/05(日) 12:34:06.97 0
先人が美を極め尽くした後
残された数少ない余白から
苦悩の末に絞り出された糞が現代美術



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東京タワーの上で眠る怪獣

「ガメラ」シリーズは、亀が火を噴いて空を飛ぶという設定があまりに馬鹿馬鹿しくて一度も見なかったが、下のスチル写真は名シーンだと思う。ギャオスが東京タワーの上で眠りに就く場面のようだが、怪獣が眠る(生き物である以上、眠りを必要とする)ということの圧倒的なリアリティに、夕暮れの背景が幻想性を加えて絶妙である。
「モスラ」が繭を作る場面といい、怪獣映画と東京タワーは実に親和性が高い。










黄海というデザイナー

黄海という中国人デザイナーの「ドラえもん スタンドバイミー」のポスターだが、日本漫画のセンスと中国の絵画や書のセンスがうまく融合されていて楽しいポスターだ。余白の使い方が上手いと思う。中国では非常に有名なデザイナーらしい。実写映画のポスターの傑作も多いようだ。つまり、絵ではなく写真映像を使ったポスターでもセンスがいいということだ。
スタンドバイミーは「伴我同行」と訳されている。日本語に再度訳すなら「私と一緒に行こう」だろうか。近日上映は「即将上映」で、「即ち、将に上映せんとす」である。




文芸創作における「達磨宗」と「顕宗」

塚本邦夫の、中世和歌についての随筆の中に「達磨宗」という言葉が出てきて、意味が分からないまま読み進めると、こういう文章が出てきた。

「達磨宗は当時も必ずしも否定的貶称ではない。凡俗の及びがたく、深遠な理ある歌として畏敬の意味で用いる例もある。反対用語の顕宗の方こそ、むしろ軽侮の意が加わっていたようだ」


要するに、「達磨宗」とは、禅宗的な表現手法のことだろう。つまり、奇抜な表現であり、何かを指すのにその物を直接指示しないで暗喩的に表現するわけだ。まあ、暗示的表現と言えばいいだけか。それに対して「顕宗」は、すべてを言い尽くすような表現で、芭蕉の「言いおほせて何かある」という批判に見られるように、幼稚で低俗なものになりやすい。

さらに、その少し後を見ると、今書いたばかりの推測が正解だったことが分かる。

「ここにいう『顕宗』とは、明らかに、たとえば六条家などの代表する悪い意味の尚古派の、明快平板な歌風を指しており、『顕宗なりともよきはよく』とは、普通は否定的にしか使われていないことを言うのだ」


この「達磨宗」と「顕宗」は、歌道や韻文だけに限らず、文章表現やドラマ表現においての注意点として記憶する価値があると思う。



その夏の最後の日

別ブログに書いた記事だが、私自身のお気に入りの文章なので、ここにも載せておく。なお、「ネットフィリックス」は「ネットフリックス」の間違い。



It was the last day of the summer, and the first day of my last days.

「それはその夏の最後の日であり、私の最後の日々の最初の日であった」

実に詩的な文で、何の小説の書き出しかと気になるが、実は「Family guy」というアニメの中で、ブライアンという人語を喋る犬が死に掛かった時に、高度なIQを持った赤ん坊が彼の闘病記を書く、その冒頭の一文である。(と思う。私は英語版で見たので、私の貧弱な英語力で理解した範囲内の話だ。)
なお、「ファミリー・ガイ」はアメリカの谷岡ヤスジのようなもので、一般社会の常識を過激なギャグで笑い飛ばすアニメである。下品だが、痛烈で面白い。
たしか、ネットフィリックスでも見られると思う。でなければhuluか。一見をお勧めする。