忍者ブログ

独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

翁の文(第八節)

そういうわけで、この真の道を捨てて、別に何の道も作り出しにくい証拠には、釈迦も五戒を説き、十善を説き、貪欲、憤怒(注:この漢字の意味はよく分からないので仮にこう訳しておく。)、愚昧の三つを三毒と名付け、父母に孝養し、師や長に仕え奉ることを三福のひとつに連ね、諸々の悪は為すなかれ、諸々の善は行い奉れ、自らその心意を清くすることが諸仏の教えであると説かれている。孔子も孝弟忠恕を説き、忠信篤敬を説き、知仁勇の三つを三徳と名付け、怒りを抑え、欲を塞ぎ、過ちを改め、善に遷るとも説き、君子は常に平静で穏やか、小人はいつも心が憂え痛んでいると説いている。また神道の人も、清浄・質素・正直と説いている。これらはみな真の道に適うもので、至上の言葉で間違っていないものは似ていると言うべきである。であるから三教を学ぶ人も、このように心得て、道理に外れて怪しく異様な行為をせず、人の世に交わってこの世を過ごすならば、それはすなわち真の道を行う人と言うべきである。




PR