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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

翁の文(第七節)

(例によって「富永仲基」による前節の注釈:これらのことはみな儒仏の書に説き古した事などであって、今更格別に言うべきものではないが、今翁が新しく自分が言い出したことのように説いて、人に無用のことを捨てて、真っすぐにその道を指し示したその志は本当に尊ぶべきである。)さて、この真の道というものは、本来インドから来たというわけでもなく、中国から伝えられたのでもなく、また神代の昔に始まって、今の世に習わしとなっているわけでもない。天から下ったものでもなく、地から出たものでもない。ただ今日の人の上において、こうすれば人もこれを喜び、自分自身も快く、終始差し支えることがなく、よく治まって、またこうしなければ人もこれを憎み、自分自身も快くなく、物ごとに差し支えがちで、滞ることが多くなっていくので、こうしなければ適わないという、人の当たり前とするところから出てきた事で、これを人がまたわざわざ特別に思案し考案して仮定的に作り出したことでもない。であるから、今の世に生まれてきて人として生まれたものは、たとえ三教を学ぶ人であっても、この真の道を捨てて一日でも世に立っていくことは難しいことであろう。












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