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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

空き家空き部屋は膨大にあるが、家賃は下がらない日本

開成中学・高校の校長による「子供のひとり暮らしの勧め」が一部で話題になっているが、下の「紙屋研究所」記事(一部のみ転載)は、それに対する、やや批判的な文章だ。
水木しげるが、「家賃問題が解決したら、人生問題の半分くらいは解決する」という趣旨のことを言っていると私はしばしば書くが、これは当たり前の話であり、中以下の階層の場合、家賃は収入の三分の一から二分の一を占める。まあ、さすがに二分の一は稀で、三分の一くらいだろう。手取り十八万で、家賃六万というのは、かなりきついはずだが、珍しくはないと思う。
で、子供が大学進学などで東京などに出た場合、仕送りの半分以上は家賃で消えることになる。一家全体での「住居費」が二倍になるわけだ。どちらも六万円としたら、十八万円のうち十二万円が家賃だけで消えるのである。それ以外の税金、年金、健康保険、公共料金、学費などの出費を差し引いたら、一家全体で残るカネは二万も無いのではないか。つまり、飢え死にレベルだ。子供が風呂無し・共同便所の安アパートを借りても、同じようなものだ。
なぜそういう悲惨なことになるかと言うと、家計に占める住居費の割合が異常に高いからである。もちろん、家賃だけではなく、不可抗力的な出費の割合が高すぎるのだ。
結婚し、子供を持ち、大学まで進学させるというのは金持ちだけに許される贅沢行為なのが、今の時代というわけである。まあ、明治時代に戻ったと思えばいい。つまり、子供がいても、学校にやるのではなく、男なら農作業をさせ、女なら売春宿に売る「いざという時の要員」である。




(以下引用)


「結婚できるか」を悩むなら、家から出した方がいい

 これは最近も「子供部屋おじさん」問題で話題になったテーマだが、「『未婚継続』と貧困には強い結びつきがある」と社会福祉学者の岩田正美はいう。

たとえば20代男性は年収500万円を超えると、30代男性は年収300万円を超えると、既婚率が50%を超える。つまり近年の晩婚化・非婚化は、結婚したくない男性が増えたために生じたというよりは、フリーターや無業者が増える中で、結婚したくてもできない人が増えたために生じたと言えるのではないだろうか。(岩田『現代の貧困』ちくま新書、2007年、p.147) 

 岩田は貧困と未婚継続の結びつきの原因について、貧困だから結婚できないという問題と、未婚のまま親元から独立するとかえってお金がかかってしまい、貧しくなるという問題の2つを挙げている。

 後者について、岩田は次のように述べている。

 貧困の「抵抗力」としての家族の役割を考えるとき、視野に入ってこざるをえないのが単身世帯の「不利」な状況である。一人で暮らすより二人で暮らす方が家計の節約になるとか、二人で働けば収入が増えるということは言うまでもない。バブルが崩壊してリストラが増大する中で、妻が再び仕事をするようになった世帯も少なくないだろう。

 また、都市部で特に高額となる家賃も、家族で暮らせば1人当たりの負担率は小さくなる。公共料金も節約できるし、家族を対象とする所得税控除も見逃せない。一定の年齢になれば子どもが親元から独立するのが普通だといわれるヨーロッパでも、不況になると子どもが実家に戻ってくることがあるという。これなども、家族による家計の節約例ということになろう。こうしてみると単身世帯は本来、経済的な豊かさがないと成立し得ないものなのかもしれない。(岩田前掲p.156、強調は引用者)

  一人暮らしをさせることは、家族の支えがあるなら「ぜいたくな実験」であるのが本来の姿だろう。

 そのへんの事情を考慮しないで「説教」をしてしまうと反発を生んでしまうのではないだろうか。



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