東洋医学では、体には「経絡」という生命エネルギーの通り道が張り巡らされていると考えられる。そこには多くの「ツボ」が点在しているため、そのツボを刺激することで、機能回復に効果があるとされる。
ならば、腎臓を元気にしてくれるツボを知れば、怖いものなし。さっそく福辻氏に、肝となる「9つのツボ」について解説してもらうことにしよう。
【背中周辺】
<1>腎兪(じんゆ):ウエストのくびれの高さで、背骨から3センチほど外側に左右ひとつずつある腎臓に直結するツボ。腰痛を緩和させるツボとしても知られる。
<2>志室(ししつ):「腎兪」から指2本分外側に左右ひとつずつあるツボ。指圧すると腎兪よりも強い刺激を感じる。
<3>京門(けいもん):志室から指2本分外側で、肋骨の下あたりにある、代表的な腎のツボ。
「これらのツボをピンポイントで指圧してもかまいませんが、正確な場所がわからないという場合は『腎臓さすり』がお勧めです。これは実に簡単で、1日1回腎兪のツボがあるあたりに手のひらを当てて、上下左右に30秒ずつさするだけです。冷えに弱い腎臓を直接刺激することで血流がよくなり、腎機能の働きを高めてくれます」
さする時には皮膚をこするのではなく、ツボに圧をかけるように行うのがコツ。「気持ちがいい」と感じる程度の圧力でさすり、ぽかぽかと温めるといい。
「『腎臓さすり』は腰部の血流をよくするので、腰痛や肩こりの改善にも効果的。疲労回復、冷え性の改善にも効果があるので、ぜひ試してみてください」
【足】
<4>至陰(しいん):足の小指外側のキワにあるツボで、冷え性改善にも効果的。
「やり方は『至陰』のツボに人さし指を当て反対側を親指で挟み、5〜6回圧を加えるだけ。小指を挟む時に『ハァ〜』と息を吐き、息を吸いながら緩めるのがコツです」
<5>膝
東洋医学では膝を冷やすと「腎」も冷える、とされている。
「座っている時には特に足の血行が悪くなるので、座り仕事が多い方は時々膝の周りをさすったり、布をかけるなどして冷やさないように心がけましょう」
<6>ふくらはぎ
血液の7割が集まるとされるふくらはぎは、「第二の心臓」とも呼ばれる重要な部位でもある。
「ふくらはぎは血液を心臓に送り出すポンプのような役割をしているのですが、実は足首からふくらはぎ、さらに膝裏までの間には腎臓と深い関係を持つツボが並んでいます。足首から膝裏までをゆっくり揉みほぐして血流を促しましょう」
【手】
<7>小指
小指には心臓と小腸に関わりを持つ2本の経路が通っている。そのため、小指を刺激すると腎臓の働きにもよい影響を与えてくれるのだとか。
「やり方は簡単で、指の先端から付け根に向かって5〜6回揉みほぐすだけ。場所を選ばずにできるマッサージなので、仕事の合間にやってみてください」
<8>手首
手首を温めると体全体が温まるといわれるが、逆に手首が冷えると、腎臓も冷えやすくなる。
「手首を回す場合は、手首を温めるように手のひら全体を使い、揉みほぐしましょう。それだけで、すぐに体全体が温まるはずです」
【耳】
<9>耳全体
耳にはたくさんのツボが集中していることはよく知られている話だが、
「耳というのは健康のバロメーターで、東洋医学では腎臓を耳とたとえて、肝臓は目、肺は鼻、心臓は舌としています。腎臓の形と耳の形を見比べるとよく似ているでしょう。大きな耳は腎臓が元気な証拠、ふくよかな耳は健康・長寿を表しているんです」
では、耳が小さい人は短命の危険性が?
「いやいや、心配には及びません。実は耳というのは軟骨なので、引っ張っていれば、しだいに大きくなるものなのです。だから、耳が小さい人は頑張ってどんどん大きくしたほうがいい。そうすれば、必ず腎臓にもいい影響が出るはずです。ウソだと思ったら、耳を引っ張る前の血圧と、引っ張って少したってからの血圧を比べてみてください。後者のほうが、血圧は下がっているはずです」