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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

ドア(用板)を机にすること

私は世界的大富豪というのをすべてDSグループの一員だと思っているので、こうした大富豪(大企業経営者)礼賛記事は眉に唾をつけて読むのだが、ここに書かれたことの一部は確かにライフハック(生活の知恵)にもなるだろうから転載する。特に印象的なのは、ドア用の板をデスクにするということで、これは庶民でも(小さなアパート住まいだと無理だが)即座に真似できるし、有益だと思う。
つまり、クリエイティヴな仕事の人間にとってデスクというのは、いろいろな資料が同時に載せられるというのが最大のポイントだと私は思うからだ。
今はパソコンで調べられると言っても、目の前にすべてが同時に開示されたデスクには及ばない。
そして、この「デスク」は「袖無しデスク」つまり、収納場所が無い、というのも、意味がある。収納された資料や道具は「探すのに時間を要する」のであり、また中には引き出しに埋もれたままの資料も発生するわけだ。

目の前のデスクに利用できるすべてが開示された状態、というのはクリエーターの理想ではないか。

(以下引用)


Image: lev radin(Shutterstock)© ライフハッカー・ジャパン 提供

2004年夏のこと。当時Amazonの最高経営責任者(CEO)を務めていたジェフ・ベゾス氏は、ある決断を下して、自身の配下にある同社の幹部たちを驚かせました。それは、プレゼンテーションツール「PowerPoint」の使用を禁止するという決断です。

これにより、Amazon経営チームのメンバーは、自身のアイデアを売り込む際に、メモや、ストーリーのあるセールストークなどの手段を使わなければならなくなりました。

ベゾス氏によれば、「明快な文章とは、その裏にある明確な思考の反映であり、より良い意思決定につながる」とのことです。

けれどもこれは、ベゾス氏の数ある戦術のうちの1つにすぎません。

以下では、同氏が提唱してきた4つのアプローチを詳しく見ていきましょう。

1. 難しい事柄こそ、簡単な単語でわかりやすく説明する

ベゾス氏は1997年から2021年までの毎年、Amazonの株主に宛てて書簡を書いていました。この25年間に送られた書簡の全文、総計5万ワードにわたるテキストを、私は「読みやすさ」を測定するソフトウェアにかけて分析しました。

すると驚くべきことに、Amazonが大きく成長し、複雑な組織になるにつれて、ベゾス氏の書簡は読みやすく、わかりやすくなっていたのです。

ベゾス氏の書簡のうち75%は、読みやすさで高いスコアを記録していました。これは、中学2年から中学3年(13~15歳)までの教育を受けた人のほとんどが容易に理解できる内容だったということです。

たとえば、Amazonが電子書籍リーダー「Kindle」を発売した2007年に、ベゾス氏は書簡の中で、その主な機能をこのように説明しています。

意味がわからない単語を目にした時は、簡単に調べることができます。本の内容を検索できます。本に書き込んだメモや、ハイライトを引いた場所は、サーバー側の『クラウド』に保存されるので、消えてしまうことはありません。

Kindleは、読んでいるそれぞれの本について、今開いている場所を自動的に覚えてくれます。

目が疲れた時は、フォントサイズを変えることもできます(中略)。私たちはKindleに関して、これまでに活字になったあらゆる言語のすべての本を、60秒以内に手に入れられるようにするというビジョンを掲げています。

Kindleに関するこの説明で使われている英単語のうち92%は、1つないし2つの音節からなるものでした。このように、複雑な理屈をシンプルに表現すれば、内容のレベルを下げることなく、知恵によって競争に勝つことができるのです。

2. ミッションをスローガンとして繰り返し唱える

Amazon株主に宛てた最初の書簡で、ベゾス氏は「顧客(customer)」という単語を実に25回も使っていました。これは、Amazonの成功の秘訣となった、顧客配慮への飽くなきこだわりを示唆しています。

この書簡の中でベゾス氏は、Amazonは「世界で最も、顧客中心の企業(The world's most customer-centric company)」だと宣言しています。

それから約四半世紀の間に、ベゾス氏は、Amazonのミッションを率先して伝えるエバンジェリスト(伝道師)となり、この言葉はAmazon社員が今でも唱えるスローガンになっています。

DNAが生物の青写真であるのと同様に、企業のミッションは、スタートアップ段階から、成功した大企業へと成長する際の青写真となります。共有されたミッションには、社員全員の目的意識を統一する効果があるのです。

しかしミッションは、企業が大きくなるとともに、自動的に定着し拡大していくわけではありません。社員全員が大きなビジョンからブないようにするためには、ミッションをしつこいほどに連呼する旗振り役が必要です。

3. シンボルを使って、大きな概念を伝える

ベゾス氏は、一見些細な物事に象徴的な意味を持たせることを得意としてきました。

創業から間もない時期のAmazonを訪れた人たちは、ベゾス氏を含む従業員が、ホームセンターの「ホームデポ(Home Depot)」で売っているドア用木材を転用したデスクを使っていることに驚いたものです。

こうした訪問者の1人に、Netflixの共同創業者で初代CEOだったマーク・ランドルフ氏がいました。ランドルフ氏は、ドアを転用したデスクをちらりと見て微笑み、ベゾス氏にこう問いかけたそうです。

「ところでジェフ、これらのドアには一体どんな意味があるんですか?」

「これは意図的なメッセージです」とベゾス氏は説明しました。

社員全員がこれを使っています。我々は、顧客と関係のあるものにカネを使い、そうでないものには使わないということを伝える手段です。

ベゾス氏は、「シンボルは、非常に強いメッセージを伝えることができる」と述べています。

「不可能と思われていることが可能だ」と納得してもらうには、手持ちのコミュニケーションツールをフル活用する必要があります。ですから、使えそうなシンボルは、すべてテーブルに載せておきましょう。

4. 複雑なトピックを単純化するのにメタファーを活用する

ベゾス氏は、Amazonという社名を、世界最大の川にちなんで名付けました。これは意図的なもので、考え抜かれたメタファーです。

というのもアマゾン川は、ほかの川より多少大きいというレベルではなく、その流量は2位から7位のすべての川の合計を上回っています。ベゾス氏によれば、「ほかを大きく引き離している」川なのです。

メタファー(2つの無関係なものを比較し、結びつける表現方法)を、ベゾス氏ほど巧みに使いこなすビジネスリーダーは、ほとんどいません。

同氏は、Amazonの成長エネルギーとなるビジネスモデル「フライホイール(弾み車)効果」を編みだし、同社を巨大企業へと成長させる種をまきました。

さらに、ツー・ピザ・チーム(5~10人で構成される、2枚のピザで足りるくらいの小規模なチーム)という概念をつくり出し、「カネではなくミッションによって動く人材」を雇いました。しかも、いま挙げたメタファーは、氷山の一角にすぎません。

メタファーは、私たちの会話の中に浸透します。人は、新しいアイデアを耳にすると、脳にスイッチが入ります。

オンライン書店としてスタートしたAmazonは、今では全世界で3億5000万点の商品を販売する巨大なインターネット小売サイトに成長しました。

けれども、ベゾス氏が「世界最高のセールスマン」であるのは、Amazonが、あらゆる人に、あらゆるものを売っているからではありません。

同氏が世界最高のセールスマンであるのは、商品ではなく夢を売っているからです。それこそが、すべての違いを生み出しているポイントなのです。

この記事は、カーマイン・ガロ氏が著した『The Bezos Blueprint Communication Secrets of the World's Greatest Salesman(原題)』(ベゾスの青写真:世界最高のセールスマンが明かすコミュニケーションの秘訣)からの抜粋です。

St. Martin's Publishing Group.の許可を得て、ここに転載します。

──2023年1月16日の記事を再編集のうえ、再掲しています。

訳: 長谷睦(ガリレオ)

Originally published by Inc. [原文]

Copyright © 2022 Mansueto Ventures LLC.

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