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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

「恋愛」とは何か

「さざなみ」という人(別に漫画家ではないようだ。)の書いた「母とセーラームーンと私」というネット漫画(全二回)を読むと、恋愛というのは人に対してだけではないな、と思う。何かに対して夢中でのめり込むことが恋愛なのであって、その対象が何かは関係ない、ということだ。
そういう意味の恋愛なら私は実に素晴らしいと思う。私が常々恋愛を軽蔑するような言説をするのは、単なる打算を恋愛として自己欺瞞する心性に対しての不快感の故である。
「母とセーラームーンと私」で描かれたような、没我的な「恋愛」(セーラームーンに対しての恋)というのは、あまり物事を知らない子供のころにしか存在しないかもしれない。ウラジミール・ナボコフが「ロリータ」の冒頭で書いたのはそういうことだろう。無垢さとは無知とほとんど同義であり、無垢で無知だからこそ強烈な「恋」をするのである。
いろいろと比較対象する存在を知ると、「あれかこれか」の間で迷い、その価値を比較考量する「打算」が生まれるわけだ。世間の多くの恋愛はそれだ。だから私はそうした『恋愛』に対して嘲笑的なのである。

なお、「あれかこれか」はキエルケゴールの著作のひとつの題名だが、もしもそういう「比較考量の下種さ」を論じたものなら読んでみたいと思う。
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