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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

「300万円で社長になる」?

まあ、話自体が、「こういう方向に進んでいる」というだけのことで、この話を鵜呑みにして即断するのは馬鹿かもしれないが、将来、法的部分で話が確定した場合には「格安で企業を買い取って社長になる」というのもひとつの人生展望かもしれない。

(以下引用)

サラリーマンが後継者を見つけられない中小企業を買い取って経営する――。夢物語のように聞こえるかもしれないが、国がそれを後押ししているのをご存じだろうか。日本の99.7%を占める中小企業がバタバタと潰れてしまえば、日本の産業そのものが崩壊するからである。そのために少しでもサラリーマンが会社を買いやすいように様々な制度が整いつつある。

刊行から1ヵ月で3刷となった『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)の著者で日本創生投資社長の三戸政和氏が、いかに会社が買いやすくなったかを語る。

『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)© 現代ビジネス

前編記事【「中小企業」の後継者不足で日本産業が崩壊する…「サラリーマンが会社を買うなんて夢物語」、そう考えている人が知らない話】より続きます。

「会社の連帯保証人になる」と思っていませんか

なぜサラリーマンが会社を買うなら「いま」なのか。企業買収のための条件が整ったということを示す話をしましょう。

最大の理由の一つは、経営者保証が明確に外せるようになったことです。

経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が会社の連帯保証人になることを言います。会社の返済が滞ったり、倒産してしまったりした場合に、経営者が個人の土地や家などを処分して返済に充てなくてはならないというものです。この経営者保証はいま、つけなくてよいものになっています。

photo by gettyimages© 現代ビジネス

そもそも中小企業の借り入れは、株主であるオーナー社長の私的な資金利用があっても見分けがつきにくい性質があります。そのため、銀行としては貸し付けたお金が社長に個人的に流用されることを懸念し、会社だけでなく、オーナー社長個人にも保証を要求してきました。

しかし、私的な資金利用がないのであれば、個人が連帯保証をする理由はなくなります。

実際、オーナー企業を除く大企業では経営陣が雇われている立場で、株主と切り離されており、企業として借り入れた資金を経営陣が私的に流用することは難しいので、個人保証をすることはありません。

借金することは「悪」ではない

ちなみに、会社経営をしたことがない人のなかには、借り入れをあまりよくないことだと思う人も多くいますが、企業が設備投資や原材料を買うために借り入れをするのは、いたって正常な経済活動です。企業は手持ちの資金だけでやりくりして事業をしていても、なかなか会社を大きくすることはできず、新たな雇用を生むこともできないので、社会的に見てプラスになりません。無借金経営が美徳などとは私は思いません。

  

経営者保証は日本経済にとっても大きなマイナスです。企業は借り入れ金を使って投資をしなければなかなか大きくならないし、事業から出る利益だけを投資に回して大きくなっていくには長い時間がかかります。投資のための積極的な借り入れは、むしろ社会にとっては善なのです。

日本に存在する会社のうち、99%以上が中小企業です。そして、中小企業の多くが後継者問題に悩まされてきました。後継者問題のもっとも大きな原因の一つは、経営者保証だと断言します。子どもや従業員が会社を継ぎたがらない理由は、経営者保証を引き継ぎたくない、引き継がせたくなかったからです。

私の投資ファンドがお手伝いしたケースでも、社長である父親が過剰な債務を抱えていて、息子がその債務に個人保証をするなら引き継がないと言っていた最中に、父親が亡くなってしまった会社がありました。1億円くらいの黒字なのにこれでは廃業するしかありません。そこで我々がスキームを作り、債権を適正サイズにすることで息子が事業承継を了承したのですが、このような会社は日本にたくさんあります。

個人で借金を背負う必要なし

もちろん、読者の皆さんも会社を買う際に、経営者保証を引き継ぎたくはないでしょう。

しかし、経営者保証は廃止される方向に進み、2022年12月には、金融庁が経済産業省・財務省と連携し、「経営者保証改革プログラム」というものを策定しました。

これによると、経営者保証を完全に禁止したわけではないのですが、金融機関が経営者保証を求める場合には、かなり厳しい条件が課されることになりました。 

金融機関から経営者保証を要求された場合には、その明確な理由を求めることができ、その理由が正当だと思えない場合には、金融庁に2023年4月に新設された経営者保証専用相談窓口に相談することができるようになったのです。

これはすなわち、前社長が経営者保証をしてお金を借り入れていた状態で会社を買収する場合には、その経営者保証を外すことができるということです。

photo by gettyimages© 現代ビジネス

金融機関が理由を付けて、どうしても経営者保証を外すことができない場合は、よほど財務状態がよくない会社である可能性が高いので、その会社を買うのをやめればいいだけです。

これからのスモールM&Aにおいて経営者保証は不要。それが基本です。サラリーマンが会社経営に乗り出したら借金まみれになるというのは、経営者保証をそのまま引き継ぐことを前提とした古い考えで、万一経営に失敗したとしても、自分が出したお金以上に損をすることはないと言えます。

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