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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

脳梗塞の後遺症は残る人生の相棒と見る考え方

実は私も脳梗塞でこの前入院した。と言うより、手と足の一部の異常を感じて近くの病院に行くと、脳梗塞の疑いがあるということで、強制的に救急車で運ばれ強制的に入院させられた。
まあ、自力で近所の病院まで歩いて行ったくらいだから、ずいぶん軽い脳梗塞だったのだが、約一週間の強制入院は最悪だった。必要も無い点滴を強制されて、生ける屍同然に行動が著しく制限されるわけだ。血圧が高いのだから、降圧剤を処置(経口服薬か注射)すればいいだけで、点滴の必要などまったく無いはずである。
で、その時に医者に確認したのだが、脳梗塞からの機能回復はあるのか、と聞くと、(下に書いた、脳梗塞のメカニズムをこちらが了解していることを示した上での質問だったので、誤魔化せないと思ったのだろう。)「ほとんど無い」という返事である。まあ、その返事は予想通りだった。
と言うのは、脳梗塞とは、脳の毛細血管にプラーク(血液のゴミ)が詰まり、その先の脳細胞が壊死することでその脳細胞が司っていた身体の機能が使えなくなることである。そして、脳細胞は基本的に再生しない。(現在は、それに異説もあるようだが、私は再生しないという説が正しいだろうと思っている。)とすれば、脳梗塞でダメになった身体機能はいくらリハビリをしようが復活しないと見るのが正しいはずなのである。
幸い、私の場合は皮膚の軽い痺れ感程度にとどまる脳梗塞だったので、退院後もまったく生活に不自由は無いが、脳梗塞からの回復は有り得る、と思って毎日リハビリをするのは、貴重な「残された人生の時間」の大変な無駄遣いではないか、と私は思うわけである。
そんな無駄な時間を使うくらいなら、テレビゲームでもしていたほうがはるかにマシな時間の使い方だと思う。つまり、楽しい時間というのは、それだけで有意義なのである。脳梗塞の後遺症は、まあ、残る人生の相棒と考えればいい。


(以下引用)「カクヨム」所載の作家山本弘の記事より。



脳梗塞という病気について



 このブログでは僕を苦しめている脳梗塞について、あまり詳しく話していなかったと思う。それが僕のような創作者にとって、どれほど致命的な病気なのか。死ぬほど苦しいということも。

 死ぬほど苦しいと書いたけど、べつに日常生活の中で痛みを味わうじゃない。確かに歩行はずっと不自由のままだし、食事の際にも妻や娘には迷惑をかけるけど、そんなに苦しいわけじゃない。

 僕が苦しいのは、小説を書けないことだ。いや、少しなら(このブログで書いているように)書けるのだが、これまでのようなペースではとても書けない。

 何で書けないかというと、文字の配列を忘れているからだ。

 文字を忘れるというと、そそっかしい人なら「記憶喪失」と思うかもしれない。それは違う。僕の記憶は正常だ。少なくとも記憶のどこかに欠落があるようには思えない。そんなことがあるなら、とっくに気がついているはずだ。

 だが、文字を忘れている。

 たとえば「脳梗塞」という言葉だ。どんな病気であるかは知っている。文字は書けないが(そもそも何も見ずに「脳梗塞」と書ける人間の方が少数派だろう)、ポメラの力を借りれば打つことはできる。

 そうそう「徴用工」「独白録」もポメラの力で書けるぞ(笑)。少なくとも「微用工」「独自録」なんて誤字を平然と書く奴よりかは、僕は頭がいい。

 しかし「脳梗塞」という字をとっさに書けない。



 厄介なのは、『BISビブリオバトル部』のキャラクターの名前を思い出せないことが多いことだ。ヒロインの「伏木空」ぐらいなら分かる。「埋火武人」「輿水銀」あたりも。だが「菊地明日香」とかは「あすか」をどう書いていたか、すぐに思い出せない。「か」は「歌」だったか「香」だったか。それに部長の名前、何だっけ? 作中では「部長」としか言ってないことが多いから、本名、忘れてるぞ。

 あと、「流冥弐久寿」なんて、よくこんな変な名前考えついたな。あと「早乙女寿美歌」も。いつもポメラで打つたびに、「こんな面倒な名前にするんじゃなかった」って思う(笑)。

 どうも使う頻度が少ないと、忘れることが多いようだ。だから原稿の執筆にはすごい時間がかかる。いちいちこれまでの本を横に置き、見ながらでないと書けない。

 てなわけで、これまでずっと停滞していた『BISビブリオバトル部』第五話『夢は光年の彼方に』、ついに完成に近づいた。あーあ、疲れた!

 あと、これまでのこのブログがしばらく停滞していたのも、僕の脳が大切なことを忘れることが多くなったからだ。

 簡単に言えばこのカクヨムの操作が分からなくなったのだ。操作方法なんてずっと覚えてるもんだと思ってたのに、 ころっと忘れちゃうんだなあ。幸い、今日の朝には思い出せたんだけどね。いやー、我ながら情けない。

 キャラの名前以外にも、思い出せなくて困ることがよくある。

 家に来るOT(言語療法士)の人によく出される問題がある。たとえば「団子」というものを「だんご」という言葉を使わずに、どういうものか説明せよという問題だ。これはかなり難しい。あなたも挑戦してみてほしい。

「ええと、和菓子の一種なんですよね……赤とか白とかの色があって……甘くて……えーと、串に刺さってます」

 単純な説明でも一苦労だ(笑)。同じように「線香」とか「カラス」とか「スイカ」とか「カリフラワー」とかの説明も求められる。

 くじけてしまいそうだ。

 その反対に「犬」や「猫」の絵を見せられて名前を答える問題には、すらすらと答えられる。僕の能力は、ものの名前は思い出せないが、名前から性質を思い出すのに支障はないらしい。だがこんな状態でどうやって小説を書くのか。

 というわけで、僕の苦難はまだ続くのである。

 ああ、『ティム』の続きも早く書かないとなあ。いつまでもフルチンのままではかっこ悪い(笑)。




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