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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

生活の技術(5)

 

第三章 ライフ・ステージ

 

 ライフ・ステージとは、「人生の各段階」ということである。その目安は「卒業・就職・結婚・出産・退職」である。つまり、下記のように分けることができる。

     誕生から学校卒業まで。~親に依存して生きており、また、様々な成長の段階である。この段階において大事なのは、「自分の可能性と適性を発見すること」と、「望ましい人生のために、自らを作り上げること」である。

     就職から結婚まで。~親から自立し、社会人としてデビュー、そして、新しい家庭を築く段階である。この期間が短い人間、つまり早婚の人間と、長い人間、つまり晩婚の人間がいる。

     結婚から子供の誕生まで。~この段階は短いのが普通であるが、男にとっては、結婚以上に重大な意味を持っている。というのは、子供に対する責任を考えれば、子供が生まれた夫婦は、よほどのことが無いかぎりは、別れてはいけないと私は思うからだ。もしも別れるなら、子供が生まれる前か、子供がまだ両親の離婚の意味を知らない幼い間にするべきだろう。物心ついた後の、両親の離婚は子供の心に深い傷を残すはずである。アメリカが離婚大国であることは、彼らが子供に対していかに無責任であるかを示すものである。

     退職まで。~この期間を一つの会社で過ごす人間は現代では稀だろう。だが、なるべくなら、同じ会社で長く勤めるほうがいい。というのは、仕事というのは、長く勤めることで技術が向上していくものであり、それに伴って給与も向上するからである。もちろん、現代のような不確実性の時代には、新たな発明によって、これまでの技能が不要になる危険性は常にある。だが、次から次へと転職していては、変化に満ちた体験はできても、安定した財産形成はできないだろう。

     退職後。~この段階である程度の財産形成ができていれば、退職後は人生の最高の段階となる。仕事の義務や責任、束縛は無く、好きなことが何でもやれるからである。この段階で「ある程度の資産、健康、良好な家族関係」の三つに恵まれていれば、後は「生活を楽しむ能力」の有無が幸福な老後を約束するだろう。ただし、この時期になると、たいていの人間は長い間の苦労で健康が損なわれていることが多いので、若い時期から健康に留意して、良き老年を過ごせるように準備しておくのが良い。

 

 以上のどの段階でも常に大事なのは、何よりも精神の健康である。特に若い頃は精神が敏感だから、年齢のいった人間なら耐えきれることにも耐えきれず、自殺などすることが多い。後でも述べるつもりだが、人間が考えることの大半は妄想であり、自殺という解決手段は、確かにすべての問題に一気にけりをつける爽快感はあるが、自殺した後でもう一度人生をやり直すというわけにはいかないのだから、この解決策は最後の最後まで取っておくのが良い。

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