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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

階級社会は必然的に衰退滅亡する

「混沌堂主人雑記(旧題)」引用記事の末尾だが、考察ネタとして面白い。
日中韓三国の比較ではなく、なぜ江戸幕府は滅び、明治政府は成功したか、という問題に通じるのではないか。それは「国民に希望や夢があるか」というのが重要点だと思う。階級社会では一般国民には上昇の可能性がない。明治維新では「四民平等」が謳われ、それは「誰でも努力したら社会的上昇が可能だ」ということで、「末は博士か大臣か」と若者が努力した。それが日本近代化のエネルギーだったと思う。つまり「坂の上の雲」を誰もが見ていたのである。司馬遼太郎は正しい。
で、今や日本は階級社会で、下の人間は努力しても社会的上昇がほぼ不可能である。そんな社会で、誰が身を削って努力するだろうか。誰が、道徳を守るだろうか。誰が結婚し、子供を作ろうと思うだろうか。

(以下引用)

大場:逆に考えてみると、なぜ東アジアで日本だけが近代化に成功したのか。
 西洋、とくにアメリカからの影響を受け、それを国家としてうまく咀嚼し、統合する分厚い中間組織が日本にはあったんです。
 一方で、中国を見ると、孫文が言ったように「すべての中国人は砂のよう」、つまり個々がばらばらで、皇帝の専制支配下でも統合力がなかった。そして朝鮮も官僚と庶民の格差が激しすぎて、社会組織が末端まで整備されていなかった。そういった状況では西洋からの影響を受け入れ、それを基に近代国家を構築するという土壌が日本とはまったく違っていたんですよ。
 だから、日本の近代化の過程と、中国や朝鮮のそれぞれの社会・政治的な背景が、どう近代化の過程に影響を与えたのかを考えると、非常に興味深いと思います。
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