ハーバード大学は去年、イスラエルの軍事作戦に抗議するデモが相次ぎ、一部でユダヤ人学生が嫌がらせを受けたことを受けて、トランプ政権から助成金の条件として要求されていた、学生の取り締まりの強化や、DEIと呼ばれる多様性などの推進をやめることを拒否したと14日、発表しました。
これに対し、トランプ政権は、助成金の一部を凍結したと明らかにしました。
トランプ対大学
トランプ政権“ハーバード大への助成金 一部凍結” 圧力強める
アメリカのトランプ政権は、ハーバード大学が政権が要求した、学生の取り締まり強化などを拒否したことを受けて助成金の一部を凍結したと発表しました。さらにトランプ大統領は大学への税制上の優遇措置を取り消す可能性を示唆し、要求に従わない名門大学への圧力を強めています。


さらにトランプ大統領は15日、SNSに「ハーバード大学が政治的やイデオロギー的で、テロリストを支援する“病気”のような行為を推し進めるのであれば非課税資格を失い、政治団体として課税されるべきかもしれない」などと投稿し、大学への税制上の優遇措置を取り消す可能性を示唆しました。

トランプ政権が要求に従わない名門大学への圧力を強めるなか、ホワイトハウスのレビット報道官は記者会見で「トランプ大統領は謝罪を求めている。ハーバード大学はキャンパスで起きたユダヤ系アメリカ人に対するひどい反ユダヤ主義について謝罪すべきだ」と述べました。
オバマ元大統領「ハーバード大学は手本を示した」
ハーバード大学がトランプ政権による学生の取り締まり強化などの要求を拒否したことについて、オバマ元大統領は14日夜、SNSに「ハーバード大学はほかの高等教育機関にとっての手本を示した」と投稿しました。
そして「ハーバード大学は学問の自由を抑制しようとする不法で強引な試みを拒否した」とトランプ政権の対応を批判したうえで「知的探求や徹底した討論、そして相互尊重の環境からすべての学生が利益を得られるよう具体的な措置をとった。ほかの機関もこれに続くことを期待しよう」としてハーバード大学の対応をたたえました。
他大学の反応は…
カリフォルニア州のスタンフォード大学は、学長などが「ハーバード大学が異議を唱えたのはアメリカの自由の伝統に基づいた行動で、この伝統は私たちの大学に必要不可欠で守る価値があるものだ」とする声明を出し、ハーバード大学の対応を支持しています。
ニュージャージー州にあるプリンストン大学の学長はSNSで、ハーバード大学が発表した文書の一部を引用した上で「プリンストン大学はハーバード大学と共にある。力強い文書の全文を読むよう皆さんにすすめる」と投稿しました。
一方、ニューヨーク州にあるコロンビア大学は、校内での抗議活動への対応を強化するなどこれまでトランプ政権の要求に一定程度、従う方針を示しながら、教育機関としての独立性を維持するとして政権との交渉を続けています。
ハーバード大学の対応については、声明で「ハーバード大学の使命を揺るがすような連邦政府の要求を拒否したというメッセージを興味深く拝見した」としながらも、明確な支持は示していません。