概数的把握のこと
だが、速足で分速八十メートルくらいだというのは覚えておくといい。
下のスレッドの場合は四キロメートル、つまり4000メートル÷80=50だから、50分となるが、速足で50分歩ける人は限られている。高校のマラソン大会で女子は5キロメートルに設定されていることがだいたいであるが、4キロメートルはそれに近い距離なのである。
昔の一里塚は、塚から塚まで歩けば、このあたりで一休みするといい、という設定だろうから、1里、つまり4キロメートルというのは結構な距離である。
もちろん、この議論は、山道などは別としての話だ。小学生の通学距離としては、1キロ以内が望ましいかと思う。子供の歩く速さなら分速40メートルがせいぜいだろうから、1キロだと1000メートル÷40で25分かかることになる。それでもなかなかの距離であり時間である。
ちなみに、健脚の例としては、江戸時代に伊東七十郎という侍が仙台江戸間九十五里(380キロ)を二日半で歩いたという話がある。一睡もせず、一休みもせずに歩いたとしても分速105メートルである。今の人間なら健常者でも5キロくらいでリタイアだろう。
仙台江戸間がおよそ400キロというのは覚えやすい。また、日本列島は北の端から南の端までおよそ3000キロというのも覚えやすいだろう。学校の社会科で教える数字はこうした「概数」でいいと思う。覚えやすい数字としては、清少納言と紫式部が活躍したのは西暦でちょうど1000年くらいのころというのも覚えておくと案外役に立つ。概数的な把握という点では、三大随筆のうち「方丈記」が鎌倉初期、「徒然草」が鎌倉末期で、それぞれが鎌倉時代の両端である、と覚えるといい。「方丈記」は鎌倉初期の作だからこそ、その中に、福原遷都など平家滅亡前後の話がリアルに描かれているのである。
(以下引用)