なぜ、酒の自家製造は「犯罪」となったのか
たとえば、酒そのものを作るというのではないが、自宅で梅酒を作ると犯罪だ、とされたらどうか。家でネクタイを外すと犯罪だとされたらどうか。おならをしたら犯罪だとされたらどうか。
そもそも、近代国家になる前は、酒を自宅で作るのは当たり前の行為だったはずで、それが犯罪とされたのは、専業酒屋の組合が政府に働きかけて、自宅製造を犯罪とし、さらに政府は酒の税金取り立ての上から酒の密造を犯罪としたのだろう。そこに、何の「法理」があるのか。庶民の自由と権利を一部の人間の独占物としただけのことではないか。
私は銃の私有というのは禁止すべきだとは思うが、しかし、それを国民の権利だとする米国民のあの頑固さには一定の尊敬の気持ちもある。つまり、容易に自分の自由を権力に渡さない、という姿勢は立派だ。
(以下引用)
(追記)やはり、税金のためらしい。
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宴会のシーズンには、友人同士で集まって鍋を囲んで家飲みなどをする機会も増える。そこで、手作りのお酒を楽しんでみたくなることもあるだろう。
しかしちょっと待ってほしい。それはひょっとしたら、違法行為かもしれない。
酒税法に触れてしまうと、酒税法第54条により「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と、意外と重い罰があるので気を付けたいところだ。
この酒税法とはどんな法律なのか。そして、どうして家でお酒を作ってはいけないのかを、三軒茶屋総合法律事務所の山田裕士弁護士に聞いてみた。
■そもそも、お酒ってどういうもの?
「簡単に言うとアルコール分1度(容量パーセント濃度で1パーセント)以上の飲料が、酒類として定義されています。酒造は免許制なので、無免許で製造すると罪に問われます」(山田弁護士)
ちなみに、梅酒などのリキュールは、酒税法によっても自己消費のためならば、という条件付きで合法(規制対象にならない)とされているようだ。
アルコール分20度以上の酒類(酒税が課税済みのものに限る)に梅や砂糖などを混ぜた梅酒は、製造とみなされない。
ただし、混ぜてはいけない食材や成分もある。発酵が生じてアルコールを新たに生成するもの(米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、でんぷんやこれらの麹、ぶどう等、多数の品目)は禁止されている。
また、混ぜた後も新たにアルコール分が1度以上の発酵がないようにしなければない。自家消費の範囲については、国税庁から通達も出されており、それによると同居の親族が消費することも含まれている。
「通達というのは、行政が条文をこのように解釈をしていると示すもので、違法か否かの重要な判断基準となります。あくまで趣味として、自分で飲むには問題ありません」(山田弁護士)
もちろん、素人が作った酒類を売り物にするのは禁止されているので、くれぐれもご注意を。
■甘酒は、酒税法に触れるの!?
では、年末や正月に神社で振る舞われたり、お祭りで売られる甘酒はどうなのだろう。寒い日に飲む甘酒は、身体に染みて非常に美味しい。好んで飲む人も、おそらく多いのではないだろうか。
実は甘酒には2種類あり、ひとつは酒粕が原料のアルコールを含む甘酒。もうひとつは麹が原料のノンアルコール甘酒。そして、アルコールを含んでいる方も度数が1%未満で酒類に含まれないためOKだ。酒粕の状態や作り方にもよるので、注意したい。
■酒税法とは?どうして家でお酒を作ってはいけないのか?
ポイントは、お酒やたばこなどの嗜好品は税収として大いに期待されるということ。
「日本では、通称『どぶろく裁判』という有名な判例があります。誰だってお酒を作ってもいいじゃないかと、『幸福追求権』が争点になった裁判ですが……」(山田弁護士)
昭和61年12月14日に最高裁で出された判決は、棄却。訴えを求めた原告側は敗訴し、お酒は「国の重要な財政収入である」という判断がなされた。税収を減らしてしまうからこそ、重い罪とされるのだろう。
「教えて!goo」では「あなたが家飲みで飲みたいお酒は何?」とみなさんの意見を募集中だ。
取材協力:三軒茶屋総合法律事務所 山田裕士 弁護士
(宇治川麻衣子)