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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

組織とパワハラ

ネットでは、こうしたパワハラに耐えきれない人間を「豆腐メンタル」と揶揄する一派がいるが、つまり、社会や組織ではそうした精神的暴力性が当たり前、潰されるほうが悪いという思想である。実際にそういう連中がこのようなパワハラを受けた経験があり、それで精神が鍛えられたのかは検証不可能だから、実はただの泣き虫がネットの上でだけ威張ってみせている可能性もあるwww
それはともかく、人前で大の大人を精神的に攻撃し打撃を与える行為が「社員研修・講習」の名目で行われることは珍しくない。私はそれがいやだから、組織そのものが嫌いなのである。確かに、組織にすることで大きなパワーが作り出せるが、その反面、組織所属者に大きな精神的圧力をかけるのもまた組織なのである。組織所属者は多かれ少なかれその影響で精神がいびつになるが、それが「精神が強くなった」と見られることも多い。
たとえば、スポーツの組織に所属した経験の長い人間で、勝利至上主義者にならない人間は稀だろう。なぜなら、勝敗を争うことがスポーツの本質であり、勝利至上主義こそ本質的な意味でのスポーツマンシップだからだ。だが、勝利至上主義者ほど危険な存在も無いのである。当たり前の話であり、勝利を何よりも優先する人間がモラルなど顧慮するはずがない。

 大阪府内で大学などを運営する学校法人追手門学院が2016年に開いた職員研修で、外部の講師が「腐ったミカンは置いておけない」などの厳しい言葉を各受講者にかけていたことがわかった。学院側は、研修中やその後、受講者に退職を勧めており、翌年度にかけて少なくとも数人が退職したり休職したりした。

 複数の受講者の証言などによると、学院は16年8月22~26日、追手門学院大学(大阪府茨木市)などの事務職員18人を大阪市内のビルに集め、「自律的キャリア形成研修」を開催。講師は東京都内のコンサルタント会社が担い、学院幹部らが入れ替わり立ち会った。

 研修の中で学院側は、内容を講師と事前に精査し、「全権委任している」と説明。講師は「自己改革」などをテーマに1人ずつ、受講者全員の前で発表させ、その場で講評した。

 その際、受講者の一人に「腐ったミカンを置いておくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」と発言。ほかの受講者にもそれぞれ「あなたが一番、参加する意欲、姿勢が曇っている。よどんでいる」「負のオーラばっかりだ」「あなたは要らない」などと言った。

 研修で講師は、受講者を選んだ理由について「28歳以上59歳未満」「前年度評価で降格」など5条件のどれかか複数に該当すると説明。(1)退職(2)年俸制など(3)関連会社への出向転籍(4)関連会社への転籍後に退職(5)再生・現状維持、の選択肢から選ぶよう求めた。

 受講者の一人は取材に「全員の前で人格否定されるのを聞かされ、心を閉ざさないと精神をやられると思った。辞めさせるための研修だと感じた」。別の受講者は「要らないと繰り返し言われ、ショックで寝られなくなって通院した」と話した。

 研修後も講師や学院幹部に数回呼ばれ、「現状維持」を訴えても「退職勧告書」を渡された人もいた。

 学院は取材に、「腐ったミカン」などの発言を認めた上で、「消極的な受講姿勢を指導した発言。改善後、講師は称賛のフォローをしている」と回答。研修後のリポートで「多くの学びが得られ、参加してよかった」との感想が述べられたとしている。今回の研修について「違法性はない」との見解を示し、「教職員本位から学生・生徒等学習者本位へといち早く転換し、教職員挙げて教育の質の向上、質保証にまい進している。本研修はその一環で実施した」と回答した。

 学院は大学や小・中・高校などを経営しており、大学の職員数は115人。

 コンサルタント会社は、ホームページ(HP)によると、教育機関の人事や研修の支援などをしており、取材に「クライアントの情報は一切開示しない」としている。

 同僚の前での叱責(しっせき)や侮辱は厚生労働省の有識者会議が12年にまとめたパワーハラスメント類型の一つに含まれるとされる。過去の裁判ではパワハラを伴った執拗(しつよう)な退職勧奨の違法性が問われ、不法行為と認められたケースもある。(小若理恵、石川智也)

■「外部の人使った学院のパワハラ」

 〈労働問題に詳しい萬井(よろい)隆令(たかよし)・龍谷大名誉教授の話〉 「腐ったミカン」などの発言は人格否定で侮辱、パワハラにあたる。それを伴った退職勧奨ならば民法上の不法行為だ。学院が内容を講師と精査したと断っている点から、外部の人を使った学院のパワハラだと言えるのではないか。




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