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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

恩返しと復讐

この発想は面白い。我々は言葉に騙されて、「恩返し」をしたら、恩は返された、つまり相手への心理的負債(これは漱石の「坊ちゃん」の中の山嵐と坊ちゃんのエピソードから、恩とは心理的負債であると分かる。)はそれで清算されたと思うのだが、実は、恩を受けたという事実は変わってはいない。従って、恩を返すことは不可能であり、ただ謝するのみだ、というのは正しい思想だと思う。
と同時に、「仇を返す」ことも不可能だとなるだろう。「敵討ち」をすれば、その時には一種の爽快感もあるだろうが、その敵討ち自体が「他者への危害」であるのだから、良い行為であるはずはない。相手に危害を受けたという事実は、復讐によって消えることはない。単に心理的負債の清算の問題だとしても、相手に受けた危害の事実は変わらず、その上、相手に危害を加えたという自責の念が加算されるだけであるわけだ。
まあ、そうは言っても、我々凡人は「復讐は何も生まない」と達観はできず、復讐の快感を選ぶだろう。




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恩は返せるものではない ただ謝するのみである

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