1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/02(木) 21:35:28.831 ID:9ERV8T9/0
はぁ、、、
青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳
地球の自転のもう一つの証拠は、地球では運動している物体に対してコリオリの力(転向力)というものが働いて、北半球では運動している物体が進行方向に対して右へ右へと曲げられていく(南半球では左へ左へと曲げられていく)という現象である。これも、理解が少し難しい。
いまV2という速度(速さと向きを考えた量)で動いている電車の中から、電車に対してV1という速さでボールを投げる(本当にやってはいけない)。ここでは簡単にするために、電車の速度に対して直角方向に投げているが、本当はどの向きにボールを投げても、V1とV2が作る平行四辺形の対角線の向きに斜めに飛んでいく(地上から見た場合)。これは力の平行四辺形と同じである。
ここで、平行して同じ向きに同じ速さで等速直線運動をしている2台の電車を考える。下図の下の電車の速度VT2>上の電車の速度VT4とする。いま、下の電車のAから上の電車のBに向けてボールPを投げる。ボールはつねにAの真ん前を飛んでいき、ある時間後にはP’に到達する。しかし、目標であったBはまだB’の位置にまでしか来ていない。ここで、電車の姿やまわりの景色はまったく見えず、電車が動いているときの振動もなく、目標のBだけしか見えないとすると、ボールPを投げた人にとっては、なぜか目標であるB(B’に移動している)にボールが当たらず、ボールは目標の右に自然にそれてしまったように思えるだろう。
逆に、上の電車Dから下の電車Cに向かってボールを投げても、Dにいる人にとってはボールは目標であるC(C’に移動している)には当たらず、同じように目標に対して右にそれることがわかる。
地球を下の図のような円盤として考える。地球の自転による回転の距離の大きさ(つまり速さ)は赤道で最大、北極に向かってだんだん小さくなり、北極で最小(0)になる。だから上の図のように、赤道から北極向かってボールを投げようが、北極から赤道に向かってボールを投げようが、いずれにしても目標に向かってまっすぐには飛んでいかず、なぜか右へ右へと曲がっていってしまうことになる。
このように、回転している地球の上では、物体の進行方向を曲げようとする力が働いているように見えるので、これをコリオリの力(転向力)という。でも、これは“本当の力”ではなく、どのような立場で運動を見ているか、その立場の違いで生ずる“見かけの力”なのである。ここではそれについては深入りしない。コリオリの力の大きさの見積もりは下を参照。
コリオリ:フランスの物理学者(1792年~1843年)。
ともかく、実際地球上で、例えば運動場でボールを思いっきり投げても、そのボールが必ずすべて右へ右へと曲げられていくことはない。もし、日常生活でもコリオリの力の影響が見えるなら、古代の人も地球の自転に気が付いていただろう。コリオリの力は、気象現象(高気圧・低気圧の風など)の大規模なスケールでないと、その影響が見えてこないのである。
低気圧の渦が、北半球では必ず左巻き、南半球では必ず右巻きになるのは、コリオリの力のせいである。これは今日では、気象衛星の写真を見ると一目瞭然であり、これこそが地球の自転の証拠なのである。高気圧・低気圧などの風の吹き方はこちらを参照。どのような場合にコリオリの力の影響が現れて、どのような場合は無視できるかは下を参照。
地球のエネルギー収支をみると、赤道付近で熱の供給過剰、極地方で放出過剰となっている。そこで、熱が余っている赤道付近から、熱が足りない極地方へと熱が移動する。それを担う一つが大気である。もし地球が自転していないとすれば、それは単純に赤道で上昇して極で下降する大気の対流となる。地上では極地方から赤道に向かって吹く風、すなわち北半球では北風、南半球では南風となる。
しかし実際には地球は自転しているのでコリオリの力が生ずる。このために対流は3つのセルに別れてしまう。
まずコリオリの力の弱い程度では、赤道で上昇し、中緯度で下降する比較的単純な対流になっている。これをハドレー循環という。この対流により下降気流が降りてくる場所が亜熱帯高圧帯であり、雲が発生しにくいので、そこに陸があると砂漠地帯になっている。両半球の亜熱帯高圧帯から赤道に向かって地上を吹く風は、コリオリの力によって北半球では北東の風(北東貿易風)、南半球では南東の風(南東貿易風)となる。貿易風は太平洋の東側、大西洋でははっきりしているが、太平洋の西側、インド洋では季節風により乱されている。
両半球の貿易風が衝突するところが熱帯収束帯である。熱帯収束帯は夏には北半球より、冬には南半球よりになる。この熱帯収束帯のとくに海上では大規模な積乱雲が発達しやすい。また、台風が生まれる場所でもある。下の衛星画像では熱帯収束帯上に並ぶ積乱雲を見ることができる(夏なので赤道より少し北側。小笠原近海には台風も見える)。
帆船時代には、この安定した貿易風を利用して大洋を横断していた。なお、貿易風(tradewind)の“trade”は貿易ではなく、「ネットで百科@home」(日立システムアンドサービス)によると、「trade の本来の意味は〈道〉
2005年6月28日03時(世界標準時)の気象衛星ひまわり6号の画像
気象庁:http://mscweb.kishou.go.jp/panfu/general/outline/image/gms6.htm
中緯度ではコリオリの力が強くなり、上図のようなはっきりとした対流(フレネル循環)というよりは、大きな蛇行した西よりの風(偏西風)として動いている。これをロスビー波という。高緯度側から低緯度側に向かって吹くときは冷たい風として、低緯度側から高緯度側に吹くときには暖かい風となっている。中緯度ではこのロスビー波、さらにそれに付随する渦である低気圧や高気圧によって、低緯度から高緯度へと熱が運ばれている。
中緯度の偏西風と、極から吹いてくる冷たい東よりの風(極偏東風)が衝突するところには前線が生じて、低気圧が発生しやすい。とくに大陸が少ない南半球では、南緯40°から60°あたりはいつも天気が悪く暴風圏ともいわれる。
ハドレー循環の中緯度側の上空では強い西風が吹いていて、これを亜熱帯ジェット気流という。
これは低緯度では小さい風速でも、緯度が高くなると地球の自転が遅くなるので、その差の分だけ対地球(地面)の速さが速くなるのである。例えば赤道での地球の自転の速さは40000kmを24時間で1周=1700km・h-1(460m・s-1)、北緯30°では35000kmを24時間で1周=1400km・h-1(400m・s-1、北緯30度では赤道での速さのcos30°=0.87倍)である。赤道上空で(の対地速度が)1m・s-1の弱い西風でも、その空気塊はもともと地球と一緒に動いているので、北緯30°にまで北上すると地球の自転の速さの差(この場合は60m・s-1)だけ速くなる。つまり、61m・s-1の猛烈な風となってしまう。
もう一つ、中緯度上空のロスビー波の圏界面付近でも強い西風が吹いている。これを寒帯前線ジェット気流という。寒帯前線ジェット気流は偏西風の蛇行に従って大きく蛇行している。また、冬に強く、夏にはやや弱くなる傾向がある。
亜熱帯ジェット気流と寒帯前線ジェット気流が合流して一本のジェット気流になることもある。また季節によって大きく南北に移動する(北半球では夏に北よりに、冬に南よりになる)。また、ジェット気流は低気圧・高気圧、梅雨などとも関係が深い。
亜熱帯ジェット気流も寒帯前線ジェット気流も、ちょうど長距離の航空機がとる高さに近い。すなわ西から東に飛ぶときはできるだけジェット気流を利用するように、逆に東から西の飛ぶときはできるだけジェット気流を避けるようにした方がよい。このジェット気流のため東京-福岡便は20分程度、東京-ハワイ便は行きと帰りで2時間程度の差ができる。