量子と量子コンピューター
(以下引用)
量子コンピュータの基礎知識。量子とは、コンピュータとは?
量子化と計算機の電子化
そもそも「量子コンピュータ」とはどのようなものでしょうか?「量子」と「コンピュータ」のそれぞれについて考えてみましょう。
私たちの通常の運動は古典力学で記述されますが、古典力学では連続的な値である物理量が、ミクロの世界では常にある単位量の整数倍の値しかとれず、その単位としての物理量の最小量は「量子」と呼ばれます。量子としては、エネルギー量子、作用量子(エネルギーと時間の積の単位、プランク定数)、フォトン(光量子)、角運動量の量子などがあります。連続と思われていた量が実は不連続であり、「不確定性原理」や「重ね合わせの原理」、「量子もつれ」、「観測」などの量子力学の概念の明確化が、多くの研究者によりなされてきました。
また、原子、電子や光子など、波と粒子の2重の性質を持つ極小の物質自体を「量子」と呼ぶ場合もあります。物質とエネルギーは等価です。分子や原子、原子核、更には素粒子(分解できない基本粒子)としての電子やミュー粒子などにも、量子としての波と粒子の2重性があります。
一方、「コンピュータ(計算機)」は現代社会では不可欠であり、様々に活用されてきています。従来の計算機は、真空管(第1世代)、トランジスタ(第2世代)、集積回路(第3世代)、そして、マイクロプロセッサ(第4世代)と発展してきました。かつては機械式計算機から出発して、電子計算機としての「パーソナル・コンピュータ」、「メインフレーム・コンピュータ(汎コン、大型汎用計算機)」、そして、「スーパーコンピュータ(スパコン、超高速並列大型汎用計算機)」があります。計算には2進法の単位(ビット)を用いますが、「量子コンピュータ」では、量子力学での不確定性原理に基づく重ね合わせの法則をコンピュータの計算単位であるビット(量子ビット、キュビット)に適用して、並列計算に利用します。
要点BOX
●量子とは不連続な物理量の最小単位
●量子コンピュータは不確定性原理による重ね合わせの法則を利用
(「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい量子コンピュータの本」p.20-21より抜粋)