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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

着物マニアも言葉の「伝統」を知らない?

着物は、右前が男女とも正しい着方だと言うが、素人が見ると右前は襟(前後が目立つ部分)の左側が前に出ているので、「右前にしなくっちゃあ」と思って逆に左前で着てしまう人は多いと思う。つまり、これは言葉がダメダメなのであって、着る人の罪ではない。
古語には(というか、現代語でもそうだが)「前」には「先」の意味があって、実はこの場合がそれだ。着付けの際に、右手で持つ側を「先に」身体に合わせるから「右先」の意味で「右前」と言っているのだろう。それを、空間的な「前」の意味で解釈するのが普通の人なのである。
こういう「右前・左前」問題がなぜ起こるか、着物業界の人は真面目に考え、「右先・左先」と言葉を換えるなりの改革が必要だろう。普通「前後」は空間、「先後」は時間で使われるからだ。
まあ、「前後」も時間でも使うが、着物の着付けは空間的把握としか誰も思わないから、そこに「時間的前後(先後)」が侵入して、「右前」「左前」となると、時間的意味は頭から消えて空間問題だとしか思わないのである。だから、言葉は変えなくても「この『前』は『先』の意味ね」と教えるだけでもかなりこの問題は改善される。

(以下引用)

■きものの「右前」とは?

きものの「右前」とはきものを着るときは、地衿や衿先をもって身体に合わせていきます。その際、着付けるときに下になる右手に持っている身頃が「下前」になり、着付けるとき上になる左手に持っている身頃が「上前」になります。

まとめてみますと…

地衿と衿先に続く、右手に持っている下前を先に合わせる着方が「右前」です。写真や画像で見ると、きものを着用している人の身体側にある身頃が「下前」ということになります。

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