老後資金の不安は尽きないですが、果たして将来、年金はどれくらいもらえるのでしょうか。「なんだかんだ大丈夫だろう。国はなんとかしてくれる」とたかを括っていると、とんでもない目にあうかもしれません。国の制度が変わることにより、「もらえる金額」や「支払う金額」がガラリと変わってしまうケースはあるのです。
月額9万円も跳ね上がった特別養護老人ホームの請求額
2015年4月、介護保険制度が改正されたことにより、費用の安かった特別養護老人ホームの料金が跳ね上がってしまったケースがあります。 “東京都内在住の男性会社員Dさん(44歳)には、特別養護老人ホーム(特養)で暮らす要介護5の母親(80歳)がいます。費用の安い特別養護老人ホームに入所するために、2010年から4年も待機し、2014年にようやく入所できました。 しかし2015年4月の介護保険制度の改正をきっかけに、特別養護老人ホームからの請求額が食事や部屋代、介護保険の自己負担分を含めて、月額約8万円から約17万円へと突然跳ね上がったのです。 両親の年金収入は月額約28万円ありますが、実家の借地料(月8万円)と、その実家でひとり暮らしをする父親の生活費や医療費などの支払いがあるので到底足りず、Dさんが毎月4万円の仕送りをしているものの、状況は厳しくなったそうです。” 『人生を破滅に導く「介護破産」』より 介護保険法はその後2018年にも改正され、年金収入等計340万円以上の利用者は、負担割合が2割から3割へ増加しました。月額約8万円から約17万円というと、2倍以上。制度が変わったことにより、月にして支出が9万円も増えてしまった計算になります。 あてにしていた制度が改正され、もらえるはずだった金額が少なくなったり、支払う金額が多くなったりした際に、今の貯蓄でやっていけるでしょうか……。
年金って実際いくらもらえるの?
上記のケースでは、両親の年金収入で月額約28万円でしたが、現状、「もらえるはず」とされている年金はどの程度の額になるのでしょうか。書籍『目指せ自立女子! 23歳からの不動産投資術』では、以下のように計算されています。 “20歳から10年間、平均年収400万円で会社勤めをした後、 (1)平均年収400万円のまま会社員を続けて、60歳まで勤めた場合 (2)そのまま会社員を続けて、31歳から60歳までの平均年収が1000万円だった場合 (3)31歳でフリーランスあるいは専業主婦等になり、国民年金に切り替わった場合 それぞれの年金の受取額を試算すると、(1)は165万円(月13万7500円)、(2)は年間約240万円(月20万円)、(3)は100万円(月およそ8万3000円)です。” 平均年収が400万円の場合で、年間165万円。平均年収が1000万円でも、年間240万円。ゆとりある生活どころか、まともな生活ができるかどうか、非常に不安になる金額ではないでしょうか。 もちろん、年金生活になるまでに、貯蓄をしているかもしれません。すでに話題としては風化しつつありますが、「老後2000万円不足」問題は、もらえる「はず」の年金額から考えると無視できませんし、コロナショックを鑑みると、状況はさらに悪化することさえも想像できます。