無意識的な差別感情
「サンダカン~」の筆者の山崎何とかが海外に「輸出」された日本人娼婦の記録を書こうとしたのは、同胞女性への同情と、ある種のフェミニズム的感情からだと思うが、その山崎にしても自分自身のアジア人(土人)への差別感情は無意識的であるだけに、何の思慮をすることも無く著書の中にそれが「排泄」されたのだろう。こういう、無意識の差別というのが一番厄介だ。
ただし、現地人に対するそうした差別感情を持っていたのは当の娼婦たち自身もそうだったと思われ、山崎の推測自体はあながち間違いでない可能性が高いと思う。
ただし、現地人に対するそうした差別感情を持っていたのは当の娼婦たち自身もそうだったと思われ、山崎の推測自体はあながち間違いでない可能性が高いと思う。
深刻なのは、オーラルヒストリーを重視した筈の山崎が、こうした口述を書き留めながら、「(土人を相手にすることは)非常な屈辱感を味わったにちがいない」と自分の思い込みを投影している点。代弁者であるはずが取材対象を自分語りのための「素材」に用いている。嶽本新奈氏の論文に詳しい。
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