兵庫県丹波市で昨年10月、突然死した男児(当時5カ月)が司法解剖後に両親に引き渡された際、頭部にコンビニ店のレジ袋がかぶせられていた問題で、男児の両親が21日、遺体を処置した葬儀会社(神戸市中央区)を相手取り、慰謝料など約220万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴した。
訴状などによると、亡くなったのは北野正弥(しょうや)ちゃん。昨年10月4日未明に突然死し、司法解剖された後に引き渡された際、頭部に巻かれた包帯の内側にコンビニ店のレジ袋がかぶせてあった。葬儀会社は「体液漏出を防ぐために使った」と説明した。
両親は「礼を欠いた遺体の扱いで精神的苦痛を受けた」と主張。昨年12月に葬儀会社から謝罪や慰謝料50万円を支払う意思などが示されたが、両親は「原因究明に必ずしも協力的ではなかった」などとして提訴に踏み切った。死体解剖保存法は解剖する遺体について、特に礼意を失わないよう注意することを定めている。正弥ちゃんの母恵さん(36)は21日午前、記者会見し「まだ立ち直れていないが、正弥のために頑張りたい」と話した。
葬儀会社は「現段階ではコメントは差し控えたい」としている。葬儀会社に遺体の処置を委託した県警は「遺族に配慮し、今後、適正な制度運用をする」としている。【黒川優】