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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

チームスポーツの地獄性

「弁護士ドットコムニュース」から転載。
17キロの減量というのは大変な数字である。かなりの肥満体だったと想像できるが、それでも部活(バレーボール)をやりたい、やれるという熱意と意志はたいしたものだ。だが、周囲からは嫌われていたのだろうということが、顧問の暴言やそれに同調した部員たちの態度から分かる。これがチームスポーツの地獄性だろう。熱意だけでは「仲間」になれないわけだ。
いわゆる「空気の読めない奴」扱いだっただろうと想像できる。
普通なら、数キロオーバー程度なら、「復帰後に気が緩んで体重が増えたのだろう」と周囲も顧問も寛容に見るはずだが、厳しく指弾されたのは、体重とは別に「いらない奴」「邪魔な奴」と誰からも見做されていたと思われる。
たとえば、全国大会で優勝もできそうなチームに、「障害者は運動部部活に入れないのはおかしい」として身体障碍者を強引に入れられたら、周囲がその障害者を憎悪するのは自然の結果だろう。全国レベルの高校の部活というのはそういうものだ。自分たちが勝利と栄光をつかむことが、その一人のために不可能になるとして、それを快く受け入れ、部活は楽しくやれればいい、と言える人間は滅多にいないはずだ。

(以下引用)


「17キロ減量しろ!」部活顧問に命じられた女子高生…公開で体重測定、部員からの罵声も

「17キロ減量しろ!」部活顧問に命じられた女子高生…公開で体重測定、部員からの罵声も
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

部活の顧問から「お前は減量しろ!」と17キロの減量を命じられ、ストレスから体調不良になったーー。

弁護士ドットコムに、このような女子高生からの相談が寄せられました。

●顧問「17キロの減量」命じ、部員「体重計に乗ってみろ」

相談者は、公立高校のバレーボール部に所属しています。部活の顧問から「お前は減量しろ!理想の体重になるまで皆と同じ練習はさせないし、もちろん試合にも出さない」と減量を命じられました。

しかし、顧問の言う「理想体重」までは17キロ痩せる必要がありました。相談者はランニングと食事制限をしましたが、他の部員と同じ練習ができないストレスやハードな減量で、生理が止まってしまったそうです。

写真はイメージです(AKITA_SYA_KE / PIXTA) 写真はイメージです(AKITA_SYA_KE / PIXTA)

数カ月後、ハードな減量を乗り越えた相談者は、顧問に17キロ減量できたと自己申告しました。ようやく他の部員と同じ練習に参加し、試合にも出してもらえることに。

ところが、ある部員から「体重ごまかしてるんちゃうか、体重計にのってみろ」と言われ、皆の前で体重計に乗せられました。

表示された数字は申告よりも数キロ多く、他の部員から「体重ごまかしてまで試合に出たかったんか」「出ていけ」など、罵声を浴びせられたそうです。顧問からも、「お前なんてもういらん、出て行け」と言われたといいます。

写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA) 写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

翌日、相談者は練習に参加できず、1人でランニングしていた相談者は気分が悪くなり、トイレで倒れ、救急車で病院に運ばれました。数時間意識が戻らず、脳の検査などをおこなったところ、「部活における過度なストレスによる精神的なもの」と診断されたそうです。

相談者は、顧問の指導は「精神的な体罰」だと考え、体重測定を強要した部員の行為に対しても「いじめ」ではないかと考えています。

今回のケースで、相談者に減量を命じた顧問の指導や、体重測定を強要した他の部員の行為には、どのような法的問題があるのでしょうか。佐田理恵弁護士の解説をお届けします。

●減量命令は「体罰」にはあたらないけれど…

ーー部活顧問による減量命令は「体罰」にあたるのでしょうか。

体罰とは、身体に対する侵害を内容とする懲戒(殴る、蹴るなど)や被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒(正座・うさぎ跳びを強いるなど)をいうとされています。

今回のように、17キロの減量を達成するまで練習や試合に出さないというのは、それ自体は、体罰にはあたらないのではないかと考えます。

しかし、高校の運動部活動は、学校教育活動の一環であり、児童生徒が自発的・自主的にスポーツをおこない、より高い水準の技能や記録に挑戦するなどしてスポーツの楽しさや喜びを味わい、学校生活に豊かさをもたらすという意義を有しています。

写真はイメージです(kotoru / PIXTA) 写真はイメージです(kotoru / PIXTA)

それを、体重を理由に練習にも参加させないなどということは、児童生徒が学ぶ機会を不当に奪う、行き過ぎた行為であると言えます。

相談者は、自らにランニングと食事制限を課し、生理が止まってしまうほどの無理を強いられることとなりました。

さらに、練習への参加が一度は認められたものの、体重が数キロオーバーしていたことで、再び暴言を浴びせられ、練習に参加できなくなり、最終的に、過度なストレスが原因で倒れてしまったというのですから、顧問の責任は重大であると言えます。

また、体重測定の強要といった他の部員からのいじめも、こうした顧問の問題ある指導により誘発されたと考えられます。この点においても、顧問の責任が極めて重い事案です。

●他の部員の行為は「いじめ」にあたる

ーー他の部員の行為は「いじめ」にあたるといえるのでしょうか。そうであれば、他の部員に対して、相談者は損害賠償請求をすることはできますか。

いじめは、いじめ防止対策推進法という法律で、次のように定義されています。

「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」。

今回のケースのように、一部の部員らが、皆の前で相談者の体重測定を強要し、その結果、体重が数キロ多かったために罵声を浴びせたことは、相談者にとって屈辱的であったと容易に想像できます。それゆえ、相談者の心身に苦痛を感じさせるものであったとして、いじめに該当すると思われます。

以上のとおり、顧問と一部の部員の行為は違法であり、これにより、相談者は、過度なストレスで倒れてしまったのですから、彼らに対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。具体的には、治療費や精神的損害に対する慰謝料などを請求することが考えられます。

(弁護士ドットコムライフ)




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