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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

公職選挙の実態

「反戦な家づくり」記事で、政治に関心の薄い人も、社会人なら「常識でない常識」として大雑把にでも知っておくべき内容である。

(以下引用)

れいわ新選組は「裏方」を真剣に養成せよ

 前の記事でれいわ新選組をボロクソに書きながら、そこから約2ヶ月、なんのことなない、れいわ新選組の選挙に忙殺されてきた。あ~あ なんてこった。
 もちろんイヤイヤやっていたわけではない。立候補したのが、数年来ボランティア仲間として信頼できる人物だったし、ちょうど仕事が超忙しい状態ではなかったので、事務作業くらい手伝おうと思って私から声をかけた。しかし、足を踏み入れたが最後、事務作業だけ どころか あれやらこれやら押し寄せてきて、目を回しているうちに投開票日を迎えてしまった。幸いにしてギリギリで当選することができ、ホッとしていると同時に、れいわ新選組の課題が浮き彫りになったという感じがする。

 選挙のボランティアに参加したことがある人も、その裏方についてはあまり知らないのではないだろうか。れいわ新選組はボランティアで成り立っている、と言われるが、そのボランティア活動ができているのは、実はもう一枚裏側で、準備をしている人達がいるからだ。ボランティアの皆さんは気がついているだろうか。

■裏方の仕事

 れいわ新選組のボランティア活動といえば、通称ポス活。家々を訪問して「ポスター貼らせてください」とお願いして回る活動だ。なかなか精神的にも体力的にも楽ではないが、週末ごとにコツコツとボランティが回ってくれている。
 ただ、こうした活動でも、ポスターのデザイン、印刷、そのための資金集め、訪問エリアの地図の管理、結果の集約、ポスターをいれる大型のカバンや専用のテープ(ワッポン)の準備、ポスターの在庫管理、ポスターを保管するための大型の棚の準備、などなど、裏側の作業が山ほどある。

 街宣車のドライバーも重要なボランティアの仕事だ。これも、車両の確保、ラッピングや看板のデザインや手配、資金集め、音響機器の選択や搭載、ボランティアが使えるようなマニュアル作り、日常的な車両管理、運行計画、ドライバーの募集と養成、アナウンスの原稿、音源の録音、編集・・・・ などなど、数え切れないほどの裏方作業がある。

 国会議員の現職になれば、ある程度の財政力ができるので、もろもろ外注も使えないことはないが、それ以外は基本的に金はない。だから、通常の裏方以上に日曜大工やらなにやら、もうわけのわからない作業も湧いて出てくる。

 さらに、最近裏金事件で有名になった「政治資金収支報告書」 これも日常的な会計処理が必要になる。政治資金規正法というのは、基本的に「不正ができる」ようにできている。普通の会社や商店がやっている会計基準を適用すれば、簡単かつ不正を防ぎやすいのに、あえて複雑怪奇な手続きを要求される。要するに、意図的にザルになっていて、それを隠す目眩ましのために、手続きだけはやたらと複雑にしてあるのだ。こうした作業も、ボランティアの目に見えないところでコツコツと行われている。

 そして、いざ選挙になれば、立候補事務や公費請求事務という、必要不可欠の事務作業が発生する。よくよく確認すれば、そんなに難しいことではないのだけれども、告示の1ヶ月半くらい前におこなわれる立候補説明会に行くと、厚さ3センチ位の紙の束をドサッと渡されるので、なれない人は卒倒しそうになる。選挙運動の準備をしなければならない時期に、それ自体は1票にもならない事務作業を、候補者がやっているわけにいかないのだが、しかしこれをやらなければ、立候補することができない。

 この紙の束には、大きく3種類の手続きがあって、立候補するための書類、公費が出るものに関する手続き、選挙にかかった費用の収支報告 である。この中で、1番と3番はまだマシなのだが、2番目の公費の請求はかなり面倒。普通の会社なら、契約、納品、請求という一連の流れで済むものが、契約、契約届、使用証明、確認申請、確認、請求、というステップを踏まなくてはならず、その度ごとに選管やら事業者(ガソリンスタンドとかポスターのデザイナーとか)とのあいだで書類を行ったり来たりさせなくてはならない。
 実際は公費を出せる上限は決まっており、どの候補も上限で請求するから、金額は一律でハンコ一つ押せば済む話なのに、 これもまた、公費を出すということについて、役所が批判されないようにわざとわかりにく~~~くしているとしか思えない。

 ちなみに、市議選の場合、候補一人に出る公費はフルコースだと約70万円くらい。選挙カーのレンタル、ドライバーの人件費、ガソリン代、掲示板ポスター、ビラ4000枚 である。ポスター代が半分以上を占める。
 これ以外に、選挙ハガキというのが2000枚出せるので、郵送料126000円は公費負担だ。

 政治の機会均等のためには、4年に1回、この程度の公費支出は当然のことと私は思うけれど、「政治=汚い」と長年思わされてきた人々にとっては、無駄遣いだという声も多いだろう。そういう目に、役に立つ政治で応えるのではなく、強烈にわかりにくくして誤魔化そう、というのがこの選挙事務の実態だ。

■れいわ新選組は裏方を養成せよ

 ここまでは、本当の実務だけを書いてきたけれども、もっと大事なことは、ヒト・モノ・カネ・コト(情報)の管理と差配をすること。どんな政治をするのか、どんな選挙をやるのかは、政治家や候補者が自ら考えるべきことだが、それに沿って、必要な資源を準備し、差配することは、裏方の最重要の仕事だ。裏方のリーダーとも言える。
 簡単に言えば、計画の立案。ただ、妄想の計画ではなく、実現できる裏付けの準備も含む。

 これを読むと、よく聞く「選挙プランナー」を思い浮かべる人もいるかもしれない。私はマトモな選挙プランナーに会ったことがないので(マトモじゃないのならある)、選挙プランナーが該当するのかどうかはわからない。
 ただ、選挙プランナーはどんな政治家であれ、金で雇われて雇い主のために働く。その動機は、良い政治の実現ではなく、自分の実績を作って自分のレートを上げることだ。
 だから、そもそもマトモな選挙プランナーというものがこの世に存在する気がしないし、私が言う裏方とは、似て非なるものだと思う。 

 私が思う裏方は、その政治家や候補者の思いに共感し、政治家が表を走り、裏方が裏側を支えるという存在だ。選挙ならば選対本部長、政治家事務所なら事務局長ということになるだろう。
 そんな人はなかなかいないよ、と言うなかれ。れいわ新選組はボランティイアの政党じゃなかったのか。そのくらいの思いをみなぎらせているボランティアには事欠かないはずではないのか。実際に、非常に熱心なボランティアは、私の知っている範囲でもたくさんいる。本当に献身的に活動している。 

 しかし、実際には裏方は圧倒的に不足している。なぜなのか。
 それははっきりしていて、裏方を重要視していないからだ。あるいは、裏方を重要なポジションとして位置付けて、募集し、養成するということをしてこなかったからだ。れいわ新選組が組織化を嫌ってきたことの裏返しでもある。
 全国の膨大なボランティアと、本部を直結させるような組織(?)化を行ってきた結果、わずかな本部職員の業務はオーバーフローし、各地域での裏方の養成は進んでこなかった。

 私の感覚では、表で活動するボランティアの1/10くらいの裏方がいなければ、本気の戦いはできない。以前から私の持論なのだが、小選挙区で勝とうと思ったら、選挙区内で1000人がカンパをし、100人が活動し、10人のリーダーや裏方が必要だと思っている。今のれいわ新選組は、1000人や100人はやれば実現できそうな気もしなくはないが、そのためにも裏方の10人が必須であり、残念ながら、そこが決定的に不足している。

 5年間の遅れはどうしようもないが、せめて今からでも正面から裏方を募集し、養成していくことが、れいわ新選組がキャスティングボートを握る規模になるための絶対条件ではないか、と私は思う。

■裏方の資質

 裏方の仕事は、実はそんなに難しくはない。とはいえ、やはり人には適正ってものがあるので、だれでも大丈夫とも言えない。仕事の種類から考えると、会社勤めで総務とか経理とかで無難に仕事をこなしている人ならば、まず大丈夫だと思う。細かいこと言うと営業総務あたりが一番近いかも。会社勤めじゃなくても、家計簿をエクセルで作れたりできれば、十分すぎる。
 まあ、事務作業が苦手じゃなくて、そこそこエクセルが使えたり、覚える気があればまったく問題ない。

 ではそれでOKかというとそうはいかない。どうしても必要なことがある。それは 「責任感」だ。普通のボランティアならば、その日だけとか、疲れたらやめてもいいとか、自分が好きなだけガンバればいいが、裏方はそうはいかない。
 任された仕事は、どうにか時間を都合しながら、なんとかして終わらせなければならない。締め切り直前に、やっぱできませんでしたは、いくらボランティアでも許されない。期限までに終わらせないと、程度の問題ではなく致命的にヤバいことも多い。

 ポス活をさぼっても、1人分が減ってしまうだけだが、裏方が準備をさぼると、その日の活動が全部流れてしまう。まして、立候補事務を忘れてしまうと立候補ができなくなるし、公費請求を忘れると数十万の大赤字だ。
 任される仕事も、だいたいは1日で終わるようなものではない。今日は休みだけど明日からは時間取れないから無理、というわけにはいかない。自分の仕事が終わった後とか、寝る時間を削るとかして、なんとか時間を作らなくてはならない。

 ましてリーダーの場合は、準備が間に合わないとチーム全体が活動停止状態になってしまう。石にかじりついてもやり遂げる、という執念が必要だ。いくら優秀な人でも、その執念がないと途中でイヤになってしまう。
 しかも、自分と同じ程度の執念を共有できるのは候補者だけ。ほかのボランティアは、思いはあったとしても自分と同じ程度には動いてはくれない。しかも、なにせ裏方なので誰からも称賛されることはない。そんな孤独感に耐えながら歯を食いしばる心意気がいる。

 うわあ~ そりゃ大変だ~、などと、れいわ新選組ボランティアの皆さんは他人事のように言っていてはいけない。今こそれいわ新選組ボランティア魂を見せるときでしょ。
 私が思うに、「石にかじりついてでも」という執念を持っている人は、必ずいる。少なからずいる。その中に、事務作業けっこう得意ってひとだっているはずだ。
 問題は、孤独に耐えられるかだ。熱心な活動家ほど事故承認欲求が強く、権力欲に取りつかれやすいというのは人のサガであり、古今東西共通の話。でもそうなってしまうと、優秀であればあるほど強烈な困ったちゃんになってしまうし、一つの拠点を吹き飛ばしてしまうほどの自爆装置になりかねない。

 誰に称賛されなくても、裏方のプライドをもって任務を淡々とこなしていく、そんな人はきっといる。れいわ新選組は、裏方ヒーローを、今こそ大募集してもらいたい。
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