まあ、難病治療薬というのは、研究事例や薬を開発する際の被験者数が少なく、治療自体が人体実験みたいなものだと私は思っている。失敗しても、もともと治療の成功率が低いから、遺族も文句は言わない。文句を言ったら、無関係な野次馬を含め多くの人に叩かれる。つまり製薬会社が訴えられる確率も低いわけだ。しかし、下の記事の場合だと、訴えられそうだ。製薬会社が副作用の存在を認めたこと自体が驚きである。
おそらく、癌の治療というのは、切除手術以外は副作用がかなり大きいと思う。私の知っていた人は、咽喉癌にかかって、放射線治療(おそらく治療薬併用)を始めて1か月くらいで死んだが、死ぬ前に一度職場に来て、その時、足腰がほとんど立たない感じで、杖をついてやっと職場まで来たのだが、そのあまりの衰弱ぶりに、癌は治療の方が危険だ、という信念をそれ以来抱いている。
ただし、癌の箇所にもよるだろう。これも私の知人だが、20年以上前に胃癌の切除手術を受け、手術に成功して(手術自体は成功するのがおそらく当たり前で、生存率が問題だと思うが)幸い今でも存命である。転移が無い時点での切除手術は効果はあるように思う。ただし、体に必要な部位の一部を切除するのだから、以前と同じレベルの健康体にはおそらく戻れないはずだ。胃などは、体重を減らすためにわざと一部を切除する人もいるから、切除に耐える部位なのかもしれない。もっとも、胃が小さくなって小食になるのが嬉しいかどうか、人次第である。
話を治療薬に戻せば、癌の部分だけを退治する薬という物自体がかなり怪しい(おそらく、ありえない)のは自明だろう。当然、体に重篤な副作用を及ぼすに決まっている。ただ、その副作用を覚悟しても、命が助かる(だろう)という方を選ぶだけの話だと思う。
肺がん治療薬「タグリッソ」の副作用とみられる症状で、約2年半で52人が死亡していたことが、製造販売元のアストラゼネカによる調査で判明した。報告を受けた厚生労働省は、患者の治療歴に注意して使うよう呼びかけた。
調査は、2016年3月から昨年8月までに、タグリッソによる治療を受けた患者3578人を調べた。このうち2079人に下痢や爪の炎症、発疹などの副作用がみられた。亡くなった52人中、27人が間質性肺疾患を発症していた。
背景を詳しく調べたところ、免疫治療薬オプジーボでの治療後に、タグリッソを使うと、治療歴のない患者と比べ、同肺疾患を発症するリスクが2倍以上に高まることがわかった。