内海 聡さんのサイトより
https://note.com/utsuminkoushiki/n/n328afb816e94
<転載開始>
コレステロールといえば親のかたきでもあるかのように悪者にされてきました。
ともかくコレステロール値が高いのは悪で、低ければ低いほど良いという風潮が世の中に蔓延しているように思えます。
コレステロール悪玉論を唱える人たちは、コレステロールのデメリットばかりを強調しますが、そもそもデメリットしかないような物質が人間の体内に存在するわけがありません。
コレステロールがなくては細胞膜を作ることができませんし、脳の神経線維を保護しているのもコレステロールです。
胆汁酸の生成にも不可欠ですし、脂溶性ビタミン(A、D、Eなど)の代謝にも欠かせない物質です。
よく検査でHDL(善玉コレステロール)とLDL(悪玉コレステロール)などといわれますが、これはよくある誤解でありコレステロールは一つしかありません。
これらの違いは肝臓から運ばれていくリポタンパクか、肝臓に運ばれていくリポタンパクかの違いであり、善玉悪玉と分けることさえ実は間違いなのです。
現在、健康診断で総コレステロールの適正基準値は140~199mg/dlもしくは140~219mg/dlなどとされていますが、この数値は低すぎてオハナシにならないのです。
この数値では普通に生活している人のかなりの人が基準値異常になるのではないでしょうか。
その健康診断の結果を受けて、コレステロールを下げようと薬を使用する人がいるというのは非常に不可解なことです。
確かに、コレステロールが高いと動脈硬化や脂肪肝などのリスクは少し高まりますが、それほど危険ではないという研究は多数存在します。
そしてコレステロールが低い人は免疫力が低く、ガンや感染症にかかりやすいという統計がほとんどなのです。
 
たとえば「日本脂質介入試験=J-LIT」という総コレステロール値が220以上の人ばかり5万人に、コレステロール低下剤を6年間使用した研究があります。
この試験では平均で約50コレステロールが下がったそうですが、もっとも死亡率が低かったのは220~260の人だったことがわかっています。
180未満に下がった人の死亡率は、なんと220~260の人の2.7倍に増え、40%が癌で死亡するという結果になりました。
ちなみにがん死亡率が最低であったのは280以上の人であり、コレステロールが高ければ高い人ほど癌にはならなかったのです。
また85歳以上の高齢者で一番長生きしたのはコレステロール値が高いグループだという研究もあります。
 
これを総合的に考えてみると、年齢が上がれば上がるほど、女性などでは閉経した後にコレステロールが上がるのは必然であり、男性も年齢が上がればむしろ高い方が良いということが言えます。
全体のコレステロールが上がることのリスク、上がることのベネフィットを考慮すると、年齢にもよりますが総コレステロール値が240~280の間くらいが一番リスクが少ないです。
これは欧米などでは常識的な基準値となってきており、日本でも大串陽一氏をはじめ多くの良心的医学者が提唱している数字です。
またコレステロールの薬は癌の発生率を増すほか、筋肉への影響など様々な副作用があるため、安易に使うことは許されません。
この基準と的確な食事療法を行えば、ほとんどすべての人はコレステロールの薬を飲むのはムダどころか逆に有害なのです。
 
断っておきますが、私はコレステロールが高ければ高いほどいいと言っているわけではありません。
遺伝的にコレステロール値が異常な人や、基準値をはるかに超えるような高い数値を継続的に示すようであれば、当然なんらかの医学的対応はするべきでしょう。
ただ、ちょっと基準値よりたかい数値が出ただけで、コレステロールを下げる薬を飲むことは、明らかに健康を害するリスクを増大させるだけの行為であるということは、覚えておいて欲しいものです。
 
<薬毒論より抜粋>

血圧降圧剤

https://note.com/utsuminkoushiki/n/n62ef62daf4a2
現在高血圧の基準は130~85mm/Hgとなっていますが、こんなおかしな基準はほかの国にはありません。
昔の日本の基準である160~95mm/Hgの方がはるかにましな基準ですし、本屋に行けば血圧を下げてはいけないという著書は多数存在します。
これは私一人が言っていることではなく、研究者にとっては常識的な話なのです。
それでも日本の医者たちは儲けのために低い基準を押し付けようとしている現実があるのですが、これは基準が低ければ低いほど、薬が売れて健康を損ない、医療界や製薬業界が儲かるからにほかなりません。
 
たとえば血圧に関しては次のようなデータがあります。
●1992年~1998年までに行われた比較試験の結果
70歳以上の高齢者において、収縮期血圧が160~179であるならば、降圧剤を使用しない人の方がガンにかかった人は少なく、脳卒中や心筋梗塞を発症する率には差がなかった。
●1992年~1997年にかけて欧米で行われた比較試験の結果
血圧の基準値を85未満~130にしたことで心筋梗塞を発症する人が減ったことはメリットであったが、拡張期血圧を80に近づけると90未満を目標値とする場合よりも死亡率が高くなった。85~130という基準値を達成しようとすると、むしろ要治療者が増えることが予測される。
●1980年に日本で実施された国民栄養調査
降圧剤なしの人は、下が90~99までの人で自立者の割合が最も高かった。また上が180未満なら降圧剤の服用者のどの値の人よりも自立者の割合が高かった。
●日本で実施された比較試験「JATOS試験」。
収縮期血圧160以上で、平均172/89程度の高齢者4418人を降圧薬を用いて140未満にする群と、140~160に緩やかに下げる群で比較。その結果、脳梗塞の発生や心筋梗塞の発生には差がなく、総死亡数は前者が後者より3割近く多かった。
 
つまり下がれば下がるほどいろんなリスクが増えることがわかっているのです。
全体的に見てみれば血圧が通常の範囲内で高いままの状態は、心筋梗塞のリスクは若干上がる可能性は出るものの、癌や感染症や認知症(自立度に関係する)などのリスクは大幅に減るので、全体を見て高めに設定することが望ましいといえます。
これはバーミンガム研究という有名な研究でも結論が出ており、年齢が上がるにしたがって血圧は上がっていくのが基本なのです。
昔は基準が160/95くらいの数字でしたが、この基準の方がはるかにましでした。
しかし現在では年齢に応じて基準値を見直すというのが最先端です。
昔は年齢に90を足せなどとよく教えられたものですが、私は現代においては年齢に100を足せと指導しています。
つまり70歳なら170くらいまでは食事に気を配るだけで十分であり、全体的な病気のリスクは減ることになるのです。
また、代表的な降圧薬はカルシウム拮抗薬とARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)になりますが、これらの代表的な降圧薬は癌の発生率を薬の副作用としても増します。
さらにカルシウム拮抗薬を長期間使用することで心不全のリスクが増すこと、ARBを心不全に使用した場合、突然死を引き起こす可能性もありますこれらを考慮すれば、日本において降圧薬を飲む必要がある人は、極めて少ないということがご理解いただけることでしょう。
 
<薬毒論より抜粋>