まあ、インチキ論文だとは思うが、「全力疾走」を一度やるだけで、筋力の最大値を上げることができるという可能性はある。そして、その全力疾走を毎日やる必要は無く、むしろ毎日やるのは逆効果である、という可能性もある。
なぜこの論文がインチキだと断言するかというと、超一流の100メートル走選手でも、100メートルをずっと全力疾走はしていないからだ。これは、カール・ルイスの走る映像を見て、私が確認したものだ。足が全力で動かせる時間は数秒である。だから、スタートとスパートでは全力疾走だが、途中は力を抜いて走っている。だから、途中でも全力で走った連中は60メートルあたりで余力を無くし、ルイスにどんどん追い抜かれ、差をつけられたのである。
つまり、20秒の全力疾走というのは、不可能だ、ということだ。全力疾走とは「息を止めて走る」こととほぼ同義であり、途中で力を抜くことでしか無呼吸の20秒は続かない。つまり、「20秒の全力疾走」は矛盾であり、二律背反である。
まあ、5秒でも6秒でも週に1回か2回、「全力疾走する」ことで、筋力の最大値は向上するという意味で、下の論文には意味があるかと思うので転載した。おそらく、筋肉の回復に1日か2日かかるとして、間を置いて週に2回の全力疾走が、一番合理的なのではないか。もちろん、これは短距離走の話だ。長距離走は筋力とは無関係である。
まあ、陸上短距離の部員が1日に3時間も4時間も練習するのは無意味どころか有害という可能性もあるのではないか。
ちなみに、私は自分の人生で全力疾走をした経験はゼロに近いwww そもそも走った経験すらほとんど無かったのだから、運動会ではみじめそのものだった。しかし、子供(小学生)のころ合理的で苦痛の少ない練習を指導されていたら、並以上に走れるようになったのは確実だと思っている。まあ、身長があったから、下手をしたら上位になったのではないか。そういう(可能性をまったく伸ばせなかった)子供は膨大にいると思う。
(以下引用)
早稲田大学、たった40秒で「大きな運動効果」を生み出すメカニズム発見!
早稲田大学など、20秒の全力スプリント×2本を週1~2回実施で筋力改善などさまざまな効果が明らかに
早稲田大学スポーツ科学学術院の川上泰雄教授、国立スポーツ科学センターの山岸卓樹研究員らの研究グループは4月12日に、トレーニング効果を生み出す「最少量」のメカニズムについて、強度の工夫によって短時間であっても大きな運動効果をもたらし得ることを発表した。 ●20秒×2本の全力スプリントで有酸素性エネルギー代謝、大腿部の筋活動を高められる トレーニング効果を生み出す「最少量」に関する最新の知見では、「60秒以内の高強度間欠的運動」が最大酸素摂取量を向上させることはわかっているものの、そのメカニズムは十分に解明されていなかったという。 WHO(世界保健機関)の身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動や週2回以上の筋力トレーニングが推奨されている。しかしながら、多忙な現代社会では推奨事項を満たすことは歓談ではない。 今回、発表された研究では、20秒の全力スプリント×2本を実施することによって有酸素性エネルギー代謝、および大腿部の筋活動を十分に高められることを明らかにした。週に1~2回、定期的にこの運動を実施することで、全身持久力の指標である最大酸素摂取量や大腿部の筋肉量・筋力の改善が期待できる。 最大酸素摂取量の改善は、アスリートの競技力だけでなく一般成人にとっても疾病予防につながる。大腿部の筋肉量は、加齢の影響をもっとも受けやすいものの、同研究で用いた運動様式は加齢にともなう大腿部における筋肉量の減少を食い止める効果も期待される。 なお、実際にトレーニングの効果を確かめるには、同研究で用いた運動を少なくとも数週間~数カ月間実施して、その前後で効果検証を行う必要がある。また、20秒の全力スプリント×2本は、運動時間としては極めて短いものの、高強度の運動に慣れていない人にとってはハードルが高い。 同研究では、全力スプリント中の全身、筋肉の酸素消費量の増大は15秒ほどで頭打ちになることも確認されているため、運動時間を30秒(15秒×2本)とさらに短くすることも可能だと考えられる。さらに、短時間でも全力を出すとそれ相応の身体的負担がともなうため、今後は少し発揮パワーを抑えた(強度を落とした)運動でも、適切な効果が得られるかを検証する必要があるという。 なお、同研究成果は『Medicine & Science in Sports & Exercise』において、「Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions」という論文名で、3月7日に早期公開されている。