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年齢と血圧






日本高血圧学会のガイドラインでみる血圧の正常値

引用データ:血圧の年齢階級 | 政府統計の総合窓口(e-Stat)


血圧の正常値を平均して日本で発表している公的な所は「日本の学会」と「人間ドック協会」の僅か2ヵ所になります。 2021年現在ではどちらも、血圧の正常値の標準は上記の表にのように「収縮期が140未満」且つ「拡張期が90未満」と定めてあります。 この基準が医学的に根拠があるかどうかは長年言い争っていてはっきりしてなかったのですが、最近になって欧州やアメリカも「収縮期が140未満」の基準を採用し始めたので世界的にも統一見解になってきたようです。

少し前までは年齢別の血圧の正常範囲の目安として、「自分の年齢+90」以下であれば大丈夫と言われていました。 加齢とともに血管が硬くなり肺活量も落ちて70代や80代になると数値が上がるのも普通ということでしたが、最近は一律で基準を設けるようになりました。


 高血圧はなぜ怖いのか?|国立循環器病研究センター

20代の血圧の正常値

2014年政府調査 20代の血圧

数値分布率割合
至適血圧 120/80未満 69.2% 正常
95.2%
正常血圧 130/85未満 15.8%
正常高値血圧 140/90未満 10.3%
Ⅰ度高血圧 160/100未満 3.4% 4.8%
Ⅱ度高血圧 180/100未満 1.4%
Ⅲ度高血圧 それ以上 0.0%

20代の血圧の正常値の範囲は年齢別に関係なく収縮期で140未満になります。 無作為に抽出された政府統計の資料で2014年データで20代の分布になり95%の人が許容範囲内に収まっております。 以下、30,40,50,60代の数値になりますが、40代までは各項目に大きな変化はなく緩やかに推移していきます。

30代の血圧の正常値

2014年政府調査 30代の血圧

数値分布率割合
至適血圧 120/80未満 64.0% 正常
89.7%
正常血圧 130/85未満 16.9%
正常高値血圧 140/90未満 8.8%
Ⅰ度高血圧 160/100未満 9.1% 10.3%
Ⅱ度高血圧 180/100未満 0.9%
Ⅲ度高血圧 それ以上 0.3%

30代の血圧の標準正常値で治まっている割合は約90%と高い数値になっています。 この統計で既に病院の薬を服用している割合は0.3%と30代では病院に通われている人は予想より少ないことになります。 30代になると仕事や生活習慣の違いによって個人間の数値に差が出てくることもあるようで、特に自宅での食生活における塩分摂取量が大きく左右されるようです。 重要なことは普段の日常生活で自分の数値を早期の30代から気に掛けることになります。

40代の血圧の正常値

2014年政府調査 40代の血圧

数値分布率割合
至適血圧 120/80未満 39.0% 正常
82.2%
正常血圧 130/85未満 26.3%
正常高値血圧 140/90未満 16.9%
Ⅰ度高血圧 160/100未満 9.4% 17.8%
Ⅱ度高血圧 180/100未満 5.1%
Ⅲ度高血圧 それ以上 3.3%

40代でも思った以上に血圧の正常値に収まっている年齢別の割合が82%と高くなっています。 既に降圧剤の薬を病院で服用している人の割合はまだ低く5.3%です。 公表されている政府統計資料では病院の降圧剤を服用後の数値になっているので、上記の表では仮に飲まなかった場合の数値を想定して服用中の人は「プラス30mmHg」して計算して表にしてあります。 40代では、血圧の正常値(140mmHg以上)を超えている70%の人は病院の薬を飲んでない統計結果になるようです。

50代の血圧の正常値

2014年政府調査 50代の血圧

数値分布率割合
至適血圧 120/80未満 22.4% 正常
58.2%
正常血圧 130/85未満 21.2%
正常高値血圧 140/90未満 14.6%
Ⅰ度高血圧 160/100未満 22.0% 41.8%
Ⅱ度高血圧 180/100未満 9.1%
Ⅲ度高血圧 それ以上 10.7%

40代から50代になると一気に血圧の正常値に入っている年齢別の平均の割合が低下します。 正常値が82→52%なので多くの人がこの期間に数値が少し上昇するのが統計データでも分かります。 医学が発達する前の昔は「人間の寿命は50年」と言われてましたが、数値と寿命は大きく関係するようです。(後述で日本の平均寿命について)

病院で処方される降圧剤を飲んでいる割合は50代では18.4%となっております。 40代の層と比較すると急激に増えて元の3倍以上になった計算です。 この年齢になると何らかしらの小さい病気で病院に行く機会が以前より増えて血圧の正常値を自然と管理することが多くなるからなのでしょう。 50代では推奨値(140mmHg以上)を超えている55%の人が未だ降圧剤を故意に飲んでいない計算になります。

60代の血圧の正常値

2014年政府調査 60代の血圧

数値分布率割合
至適血圧 120/80未満 11.5% 正常
39.4%
正常血圧 130/85未満 13.8%
正常高値血圧 140/90未満 14.1%
Ⅰ度高血圧 160/100未満 24.8% 60.6%
Ⅱ度高血圧 180/100未満 10.3%
Ⅲ度高血圧 それ以上 25.4%

60代での政府統計の血圧の標準の正常値に収まっている人は39%になりました。 他のサイトの資料等を見ると30%を切るデータが多いですが、理由としては1つは年々高齢者の平均が低下してきて過去の古いデータを参照している可能性があること。 もう一つの理由が、政府統計データは無作為に抽出したものですが調査対象の人数が1,000人と僅かだったのでずれがある可能性があります。 180以上の割合が多いのは計算上で降圧剤を飲んでいる人は、プラス30にして飲まなかった場合を想定して作ってあります。 60代で降圧剤を続けて服用している人の割合は35%の計算になり約3人に1人ということになります。

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後期高齢者(75歳以上)の場合

75歳未満では血圧の正常値の基準はどの年齢層でも同一でしたが、75歳以上の高齢者は特例を設けております。 基準としては、150/90未満と収縮期が10mmHgだけ寛容になっております。 2017年に医療従事者向けに発刊された高齢者血圧ガイドラインでは、忍容性があれば140mmHgから降圧剤の使用開始をしても良いということです。 忍容性とは、患者自身が薬の副作用に耐えれる基礎体力があるかどうかの判断になります。 後期高齢者になると様々な病気が起きる可能性があるので、一概に血圧の正常値を適用するよりは患者さんの優先順位を考えた対処が重要という事です。

降圧剤を飲み始める基準のガイドライン

血圧の正常値を超えてた場合に直ぐに病院の薬を飲み始める訳ではありません。 上記の表は日本学会のガイドラインで、病院の医師も上記の基準で薬を飲まないかを勧めてくると思われます。 数値だけでなく「糖尿病」「喫煙」「肥満」「家族歴」「65歳以上」「腎臓病」などの当て嵌まる危険リスクと両方で考えて「低」「中」「高」の三段階で評価します。 低リスクの場合は3ヶ月間血圧を正常値に近づける運動や食事療法で努力をしてそれでも140以上だったら医師と相談して薬を飲み始めるという決め方です。 医師と相談して早急に降圧剤を飲み始める必要がない場合は患者さんの自己判断に委ねられることが多いようで、しばらく様子見になることが多いです。

血圧正常値は脳卒中の発生率と関係がある

国立研究開発所のデータで、過去に脳卒中を1回でも起こした人の要因を様々な人的影響を除去した場合に、血圧の正常値が一番大きな引き金だったとの発表です。 二位が喫煙、肥満・糖尿と続きます。 この開発所では脳卒中の発生する血圧の正常値の標準ラインとしては「上が160以上」であれば病院の降圧剤を飲んだ方が死亡リスクが低いという研究結果になっています。 上が150くらいなら薬を飲まない方が良いという事になります。

年齢別の血圧の正常値の平均を今までの表を見ても分かりますが加齢とともに平均値が上昇していて、脳卒中のリスクが高まっています。 純粋に数値だけでなく、様々な要素の総合点でリスクを足し算して計算することで、今後10年で自分が脳卒中になる確率を求めることもできます。 女性よりも男性の方が危険、喫煙していてリスクが高いのは女性になります。

 最低血圧が高いことが病気の原因ではないが頭痛は危険信号

血圧が異常値になるとでる主な症状は頭痛

一番多く見受けられる血圧が正常範囲を超えて180以上の異常値になって起きる代表的な症状は、激しい頭痛と吐き気になります。 頭痛も「ズキズキ」したものが多く血管が圧迫された状態に起きるもので、トイレでの排出のときなどにも急にあがり頭痛がすることが多いです。 危険な血圧異常での症状の頭痛で、後頭部をバットのようなもので殴られた痛みの場合は、くも膜下出血や脳梗塞の危険性があるので救急車を呼ぶようにしましょう。

血圧が年齢別の正常値を超えて異常値になると、急に脳梗塞になる訳ではないですが、高いまま放置することで突然死するリスクが健常者より大幅にアップします。 脳梗塞の前触れの症状は「手足のしびれ」「ろれつが上手く回らない」「頭痛」などです。 140以下が血圧の正常値ですが、異常値の症状を気にするよりは毎日計測して数字を頭の中で把握して管理することが重要で、細かく手帳を付けましょうと医師にもアドバイスを受けるものです。

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