加齢と帯状疱疹
帯状疱疹の原因
公開日:2016年7月25日 13:00
更新日:2019年6月21日 11:22
帯状疱疹はなぜ起こるのか
帯状疱疹は他人から感染するのではなく、以前罹患した水疱瘡(水痘)ウイルスが原因で起こります。子どもの頃などに水疱瘡(水痘)を発症したことがある人は、体の中にウイルスが残っており、これが何らかの要因で再活性化したときに発症するのが帯状疱疹です。
この水疱瘡(水痘)ウイルスは、水疱瘡(水痘)に初めてかかった時に、発疹(皮疹)から神経を通って、後根神経節といわれる部分に潜伏します。そのため水疱瘡(水痘)ウイルスは、水疱瘡にかかったことがある人なら誰でもが持っているものです。水疱瘡(水痘)も帯状疱疹も、同じウイルスが活性化することで発症しますが、1度目の発症を水疱瘡(水痘)と呼び、2度目の発症を帯状疱疹と呼びます(図)。
帯状疱疹を発症する要因
2度目の帯状疱疹を発症させる要因には、加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、重症な感染症、放射線や紫外線の曝露、免疫抑制剤や抗がん剤を使用したことによる免疫力の低下などが考えられます。
帯状疱疹を発症する要因のまとめ
帯状疱疹を発症する一番の原因は「免疫力の低下」ですが、その要因をまとめると、次のようになります。
- 高齢者(50歳以上)
- 疲労
- 悪性腫瘍
- 重症な感染症
- 放射線や紫外線を浴びたことによる曝露
- 免疫抑制剤や抗がん剤を使用したことによる免疫低下
- ストレス
私たちがこのような免疫力が低下する状況になると、普段は眠っている水疱瘡ウイルスが活性化され、再び活動を始めます。帯状疱疹を発症した時は、体がひどく疲れていたり、大きなストレスを感じていたり、免疫力を低下させる何らかの要因が私たちの体に負荷をかけているということになります。
高齢者が帯状疱疹にかかりやすくなるのは、加齢とともに免疫力が落ちてしまうためです。今後も平均寿命が延びてさらに高齢化が進めば、今以上に帯状疱疹にかかる人は増加することが予測されます。しかしながら、最近では年齢とは関係なく、20~30歳代の若い人でも、発症する人が多いようです。
帯状疱疹が再発する仕組み
帯状疱疹は1度発症すると、水疱瘡(水痘)ウイルスに対する強い抗体ができますので、再発することはほとんどありません。しかし、中には数年後に再発することもあります。これもやはり、免疫力の低下と関係があります。
水疱瘡(水痘)ウイルスに最初に感染して発症した時は、水疱瘡(水痘)と呼ばれます。この時、私たちの体の中には、水疱瘡(水痘)ウイルスに対する抗体が出来上がります。そのため、その後で同じウイルスに接触することがあっても、感染・発症までは至らずに過ごすことが出来るのです。また、体の中に残っている水疱瘡(水痘)ウイルスが、悪さをしないように見張っていることが出来ています。
しかし、加齢や疲労、ストレスなどによって体全体の免疫力が低下すると、水疱瘡(水痘)ウイルスに対する抗体が上手く作られなくなり、体の中に残っている水疱瘡(水痘)ウイルスを見張っていることが出来なくなります。この状態で発症すると、帯状疱疹と呼ばれます。
帯状疱疹を発症した時は、体の中でしっかりと抗体が作られるため、直後に再発することはほぼありません。ただし、数年が経過して加齢や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、再び水疱瘡(水痘)ウイルスの増殖力が強くなることがあります。すると、再び水疱瘡(水痘)ウイルスが神経の走行に沿ってどんどん増殖を始め、帯状疱疹が再発することもあります。
しかし、体の中には水疱瘡(水痘)ウイルスに対する抗体を作る仕組みが残っていますので、再発しても軽症で済むことがほとんどです。中には再発を繰り返す人もいますが、症状の強さはだんだんと弱くなっていきます。