若年の好みと老年の好みの変化
たとえば、先ほどまで、ネットテレビで「スピード」を見ていた(キアヌ・リーブスの顔が好みではないので、今まで見なかったのだが、どんな作品か知るために見たわけだ。)のだが、確かにアクション・サスペンス映画としては完璧に近い作品である。だが、見ている間じゅう、「これを見ているのは、俺にとっては時間の無駄だなあ」という気分で、まったく楽しい気分は無かった。おそらく、「ダイハード」シリーズとか、「スターウォーズ」シリーズも同様の気持ちになるだろう。
これを今さら見ることが自分の人生を豊かにするだろうか、と思うわけだ。
若いころはアクション映画もSF映画もそれなりに好きだったのに、なぜこうなるのか。
逆に、若いころより、今見たほうがその価値が分かる作品もある。「ロッキー・ホラー・ショー」などは、その下品さが若いころは嫌いだったが、年を取ってから見直すと、そのユーモアの質の高さや音楽の質の高さが理解でき、好きな作品のひとつになっている。
ちなみに、若いころから、或る種の「人生映画」は好きで、『東京物語』や『道』や『野いちご』は、わが生涯のベスト10に入れているから、年齢によって好みが変わると言うよりは、「無駄なもの(あまり好みでないもの)で時間を潰すことへの耐性」が無くなるということだろう。