起源というものがあるからな、僕のバッハは中学1年のときに出逢ったスウィングル・シンガーズだよ。まずはラルゴ、そしてアダージョ、シンフォニア11番等々。 ここからは一生逃れられないね。
僕が新しい演奏家のシンフォニアを聴くとき、まずは11番を聴いてみるのもこのせいだ。
Les Swinger Singers J S Bach Concerto in F Major largo 1969 |
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Adagio: Sonata No. 3 In E BWV 1016 |
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The Swingle Singers - J.S. Bach - Sinfonia XI (Three Part Invention) BWV 797 |
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グールドはその後だよ、中学2年のときのラルゴ、それ以外は高校に入ってからだ。 |
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Glenn Gould - Bach, Concerto For Piano & Orchestra No. 5 in F-minor: II Largo |
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Violin Sonata No. 3 in E Major, BWV 1016: III. Adagio ma non tanto |
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Three-Part Inventions (Sinfonias) , Sinfonia 11 in G Minor, BWV 797 |
僕らの世代はスウィングル・シンガーズにゾッコンだった者が多いよ。坂本龍一や浅田彰もそうだ。その後でグールドだ。
前回、掲げた高橋悠治のラルゴとシンフォニア11番はグールドに勝るとも劣らない。
高橋悠治、クラヴィーア協奏曲集 第5番 ヘ短調 BWV1056 II - Largo |
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インヴェンションとシンフォニア (装飾稿による) シンフォニア11, BWV 797 |
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スウィングル・シンガーズは上のようなわかりやすい曲だけでなく、一般にはいくらか馴染みにくい曲もやった、例えば、MJQと組んで、「音楽の捧げもの」などもやった➤J. S. Bach - Ricercare a 6 from "Musikalisches Opfer" BWV 1079 - Jazz-Voices transcription。ここに31曲の再生リスト➤「 Les Swinger Singers」 がある。
もともと隣に住んでいた母方の叔父がMJQのミルトン・ジャクソンにゾッコンだったので、それを経由してスウィングル・シンガーズを聴くようになったのだが、僕はどちらかというとジョン・ルイスにイカれたね。
MJQ解散後のルイスの平均律BWV864プレリュードの後半部分は特にいいなあ、以前にこれまたヴィスコンティのイノセント(L'innocente)の偏愛場面のバックにくっつけたことがあるが。
しかし若い頃の僕はほんとに惚れっぽかったね、もちろん今でもその残滓はふんだんに残っているが、つとめて隠すようにしてんだ。
ところでスウィングル・シンガーズのリード・ソプラノのクリスチャン・ルグラン(Christiane Legrand) の弟が、ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)ーー『シェルブールの雨傘』の音楽担当ーーで、彼が弟であることを知らずに高校当時この映画音楽に惚れ込んだ、この偶然は30数年後に知ったのだがこれまた驚きだったな
何はともあれ、あの「いつまでも待ってるわ(I Will Wait For You)」はこよなく名曲だよ、ジェシー・ノーマンが驚くべき静謐さで歌っているのを知ったのもビックリだったよ。彼女はもともと神を超えた何ものかだがね。
というわけで、何が言いたいかといえば、今はほとんどきかれていないスウィングル・シンガーズをきかないのは人生の損失だよ。グールドはきかれ続けるだろうから、もうひとつ言えば、若い頃の高橋悠治をきかないのも大いなる損失だよ。わかるかい、これが前回と今回の投稿の意味だ。