無断駐車と警察の対応は既に色々な書籍やサイトで紹介されています。
今回は,少し掘り下げて実務的な視点を盛り込みながら,迷惑な無断駐車と警察の関係に触れてみましょう。
自分の駐車枠に別の車が!警察に対処を頼める?
仕事から疲れて帰宅,駐車場の自分の枠に車を駐めようと思ったら見たこともない知らない車が…
警察に通報して撤去しても,警察から返ってくる言葉は「個人の駐車場は警察が対処できないんですよ」です。
では,この場合は警察は何もできないのか?
「駐車場は私有地だから民事不介入なんですよ」と誤った言い訳は通用しません。
困っている市民の届出を仕事の範疇外と無視することは不適切です。
この場合,警察に駐車車両のナンバーを伝えてください。
車両のナンバーは陸運局や軽自動車検査協会に届けられたデータと警察のデータがリンクしており,車両の所有者と使用者は即時判明する仕組みになっています。
判明した所有者や所有者に連絡が取れるかどうかは,電話帳に記載があるかどうかに頼る部分が大きくなります。
また,地域警察官が個人宅を訪問して作成する『巡回連絡簿』に電話番号の記録があるかどうかにも左右されます。
警察はできる限りの手段で車両の持ち主に連絡を取り移動を促すべきです。
ただし,通報者には所有者などのデータや連絡先は教示できません。
あくまでも「警察から持ち主に連絡をとる」という対応になることを承知しておきましょう。
無断駐車の自己救済は禁止!
日本は法治国家です。
いかに相手方に違法行為があったとしても自力救済は禁止されています。
無断駐車をされると,腹いせにフロントガラス全面にのりをべったりつけた新聞紙でも貼り付けてやりたい気分になりますが,当然ダメ。
タイヤの空気を抜くなんてもってのほかです。
傷をつける,破壊するなどの行為は器物損壊に問われるおそれが大です。
勝手にレッカー車を呼んだとしても,移動時に傷をつけたりすれば損害賠償請求を受ける危険もあります。
極論になりますが,腹いせにタイヤロックを装着したり,周囲をチェーンで囲ったりすることも器物損壊に問われる危険があります。
「車には傷をつけてないのになぜ?」と思うかもしれませんが,器物損壊は「本来の物の効用を害すること」と判示されています。
つまり,エンジンをかけてそのまま発進できない状態にすることは器物損壊になってしまいます
(もちろん,コインパーキングなどは別論)。
相手によってはこの点を突かれるかも知れないので注意が必要でしょう。
道路交通法で警察が対処できる場合とは?
無断駐車で警察が対処できないのは私有地の場合。
つまり,私有地でなければ警察が対処できるということです。
例えば,外出しようと自宅を出たら車庫前に無断駐車の車両があったというケース。
車庫から3m以内は法定駐車禁止場所にあたるので,通報すれば警察官が現場臨場します
(車庫前の法定駐車禁止は自宅前に自分の車を駐車しても違反になるので注意が必要です)。
臨場した警察官から「検挙して欲しいのか,とにかく早く退かしてほしいのか?」を尋ねられ,検挙を選択すれば写真撮影などの立証措置の後に呼び出しのステッカーを貼付することになります。
撤去を選択すれば,マイク広報で呼び出すことになりますが,それでも持ち主が現れない場合はレッカーによる撤去になるでしょう。
ただし,後々に損傷を訴えるケースも多いので,警察もレッカーによる移動は慎重です。
すぐに「レッカーを呼んで移動させます」とはなりにくいでしょう。