忍者ブログ

独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

「思うこと」と「言うこと」

正直であることは美徳だが、思ったままを言うことは美徳なのかどうか。
このふたつは同じだ、という考えもある。つまり、思ったままを言わないのは不正直だという考えだ。その間に隔てを置いて、思うことと言うことを区別する自体が不正直な行為だということだが、さて、どんなものか。
思ったままを言うのは気持ちがいいが、それで他人を傷つけ、自分にも不利益になると判断したら、自分でブレーキをかけて言わないようにする。これはなかなか不快な行為ではある。さっぱりしない。できれば、何のブレーキもかけずに思ったままに言う生き方で一生を過ごしたいし、それが「男らしい」生き方でもあるだろう。そういう生き方をしている人間は羨ましいし、それが許されている境遇も羨ましい。だが、それができないのが普通人である。
下のツィートの発言者あさりよしとおは私の好きな漫画家だし、下の発言も気持ちはよくわかる。しかし、その発言は多くの漫画家(創作家)を敵に回す発言であるわけで、その発言で不利益以外に得られるものは「一時の快」だけだろう。まあ、それでも言いたいことは言うのが彼の生き方だ、ということならはたから何も言うことはない。
とりあえず、「思うこと」と「思うことを言うこと」はまったく別のことだし、慎重になるのが無難な生き方だ、とは言える。
しかしまた、思ったままを言う人間の存在はかなり貴重だと言える。厄介者扱いされがちだが、そういう人間が閉塞した社会や状況に風穴を開けるのである。

ちなみに、私のものの考え方の基本は「分けて考える」ことである。私の書いた小論的随想の骨格はほとんどそれだと思う。この考え方は若いころにデカルトの「方法序説」を読んで学んだものだ。それを「分析と総合」と言う。問題の混乱や昏迷は、問題内容が複数の要素を含んでいるのに、それを分けないままで考えようとすることから起こる、という「基本的思考方法」だ。まさに「方法序説」である。


(以下引用)

浅利与一義遠
@hologon15
漫画や文章書きが生業。自作を自讃する卑しさ、こう書いた、こう読めみたいな勘違いした傲慢さは物書きの恥なので、(書いたものが全て。言い足すのはただの言い訳でしかない)仕事と分離した一個人として在るべく、ハンドルでツイート中。歯車とレンズが好き。
PR