忍者ブログ

独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

女性の虚栄心と好奇心

「神戸だいすき」記事の一節だが、この老夫婦の論争は面白い。
まあ、答え自体は単純で、「女性は虚栄心も好奇心も強い」だと私は思うが、これは私の主観的回答であるのはもちろんだ。
それよりも大事なのは、実は「虚栄心が強いと好奇心も強くなる」ということではないか。その反対、つまり「好奇心が強いと虚栄心も強くなる」は成立しないように思うが、その考察はしない。
ほとんどの流行は女性をターゲットにしている、というのは良く知られているが、同時に若者をターゲットにしていることも知られているだろう。後者の理由は、若者は人生や世界に無知な分、感受性が鋭く好奇心に溢れているからだ。前者はどうか。女性の場合は人生や世界に無知でなくても感受性が鋭く(ただし、その対象は限定的だと思う。つまり美的方面や感情方面に鋭く、倫理的に、また論理的に鈍いと思う。と言うか、後者を重視しない。現実主義者で、抽象的な物事を本質的に軽視する傾向があると思う。)好奇心に溢れている人が多いようだ。
女性が概して男性より長生きする原因も、この「好奇心」にあるのではないか。好奇心があれば、もっと生きていろいろ見たい、聞きたい、知りたい、経験したいと思うのは当然だろう。そして、虚栄心もまた生きる原動力となりうる。「自分が他人より上だ」と周囲に見せつけることは、生きる力(張り合い)のひとつだろう。私の見た限りでは、貧乏生活で身なりにかまわなくなるのは男性であり、女性は貧しい中でも努力して身なりや住居をきれいに保とうとする傾向があるようだ。そうした努力そのものが生きる意志につながる、というのが私の考えだ。

(以下引用)


そして、ふと思い出した。


京都国立美術館にミロのビーナス像を見に行った、高校生の時。


誰でも知っている、あの有名なミロのビーナス。
ルーブル美術館の!!

パリに行くよりお手軽よ、京都なら。


そこで、二列で美術館の塀を一回りするぐらい人が並んだ。

いつ入れるか、わからない。美術館のまわりを、ゆるゆる回っていく。

「やっぱり、女が多いなあ」と、前に並んでいる老夫婦の夫が言った。

すると、和服姿の老妻が「女は好奇心が強いですから」と、礼儀正しく応じた。

そしたら、夫が「いや、違う。女は虚栄心が強いからや」

譲らない。

40年以上共に暮らしているであろう老夫婦の老妻は、全くたじろがず、

「好奇心です」と、不愛想に言う。

「虚栄心や」と、夫も負けない。

「好奇心」

「虚栄心」

「好奇心」
「虚栄心」

それから、二人は、美術館を一周する間、絶え間なく、「好奇心」「虚栄心」の応酬。


腹を立てているわけでもなく、ただ、淡々と、決して譲らない。

美術館を一周といえば、たぶん2キロ以上あったと思う。もっとかも。

ずっと、どちらも、怒りもせず、笑いもせず「好奇心」「虚栄心」


先に辞めた方が負けるとでも思っているように。

そのあとを、歩きながら、


なんかなあ・・・こんな年まで一緒に暮らして、これは、なに?

何かなあ、

それにしても、女は好奇心が強いのか、虚栄心が強いのか、どっちだろう?


という答えの出ない問題が、残って、いまもまだ、私は、あの時の老夫婦の論争の答えが出せない。


PR