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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

プラスもマイナスも前との比較による

まあ、自分でも愚論かな、とは思うのだが、金持ちや権力者の家に生まれるのはある意味不幸かな、と思う。と言うのは、生まれた時が絶頂で、そこからは落ちるしか無いからである。高い地位や財産を守る苦労もあるだろうし、周りの人間がみな、自分を利用しようとする人間だけで、人間そのものが信じられなくなる。偉人の2世が偉人になった例が驚くほど少ないのは、すでに恵まれた境遇にあって、努力や向上の必要性も無く、向上の喜びも無いからではないか。親と比較されて劣等感を味わうのはしょっちゅうだろう。
私は、人生の喜びの中でも上昇感覚は大きな喜びだと思うのだが、最初から頂上にいる人間は落ちるしかなく、不幸だ、というわけだ。逆に、最初から最低の場所や地位にいる人間は毎日が上昇である。
などと考えたのは、最近私は体の不調に悩まされることが多いのだが、時々、それが快方に向かうことがあって、その嬉しさは、病気にならないと得られなかったな、とふと思ったからだ。

良寛のエピソードとして知られている話で、良寛がある人から、カネを拾うと嬉しいと聞いて、持っている1文銭か何かを道に投げて拾ってもちっとも嬉しくない。ところが、その投げた銭が変なバウンドをして見つからなくなり、必死で探すと見つかり、それが嬉しかったので、あの人の言ったのは本当だったと納得したという話がある。これがつまり、私の言う「上昇感覚」である。プラスからより上のプラスになるのも、マイナスからゼロやプラスになるのも、前の基準点から上昇したのだ、ということである。世間の人は、「絶対的なプラスやマイナス」を妄想したり、それが妄想ではなくても重視しすぎたりしていないか。

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