高さを表す基準の「標高」と「海抜」。どちらもよく見かけるものですが、2つの意味は少々異なります。「標高〇m」などと書かれた看板は意外とたくさん立っています。
高さの表示は山の頂上ではもちろん、道路沿いや公共施設でも見かけますが、「標高」や「海抜」の表記は場所によって異なるようです。紛らわしい2つの言葉ですが、どのように違うか分かりますか?
■同じ場所で「標高」と「海抜」が異なると混乱を招いてしまう
「標高」とは、東京湾の平均海面を0mの基準面として、基準面から測った高さのことです。国土交通省の付属機関である国土地理院では、日本の土地を「標高」で表します。標高は広く使われる基準ですが、実際に海面から測量するのは実用的ではありません。
そこで1891年に国内の高さの基準となる「日本水準原点」が、東京都千代田区永田町に設置されました。その後、関東大震災による地殻変動の後と、東北地方太平洋沖地震による地殻変動の後に、水準原点の高さは改定されました。
日本には全国に2万点あまりの水準点が設置されており、標高を測る際の基準になっています。
本来の「海抜」とは、近隣の海面を0mの基準面として、基準面から測った高さのことです。ただ標高と海抜が異なると混乱を招くので、一般的には海抜を表示するときにも東京湾を基準にしています。
東日本大震災以降、国土交通省では津波被害を軽減するための取り組みとして、道路上に海抜情報を表示するよう推進してきました。表示シートの寸法は縦30cm、設置高さは視界に入りやすい1.5m程度とされています。
防災関連では津波を意識するために「海抜」が使われます。
■解答:「標高と海抜」の違いとは……
「標高」とは東京湾の海面から測った高さのことで、「海抜」とは近隣の海面から測った高さのことです。実務的にはどちらも同じ数字になります。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年3月12日公開記事)