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青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳
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40~64歳の中壮年者では、血圧の上昇に伴って、脳卒中や心疾患による死亡のリスクはグングンと上昇していきます。けれど、65~74歳の前期高齢者、75歳以上の後期高齢者になるにしたがって、その傾きはどんどんとゆるくなっていきます(8、9)。
つまり、高齢者であっても降圧治療のメリットはあるものの、若い世代に比べるとそのメリットが相対的に低くなるのです。
この理由ははっきりしませんが、高齢者の方が若い世代に比べて余命が短いので、治療の恩恵を受けにくい、ということもあるのでしょう。
また高血圧がリスクになるような人は、高齢になるまでに何らかの病気を起こしていて、逆に血圧が多少高くても大丈夫な人が長生きしている、という、さながら自然淘汰のような側面もあろうかと思います。
ですので、元気な高齢者が「ワシを見ろ! 血圧170あるけど元気だ。血圧は下げちゃいかん!」と言っていたとしても、それはその人にとっては正しいかもしれませんが、ほかの人にも適用できるとは限りません。
背後には高血圧によって病気になったり亡くなったりしたサイレントマジョリティーがいることを忘れてはいけないのです。これは「ワシはタバコを吸っているが、肺がんにはなったことがない」という意見と同様で、サンプルサイズ1の話だとしっかりと胸に刻んでもらいたいのです。
また高齢者の降圧治療の論点として、もう1つ大事なことは、血圧のコントロールが難しくなる、ということです。
加齢とともに血圧を調節をする機能が衰えたり、多少の環境の変化で脱水になったりしやすくなります。すると、脱水気味で、血圧があまり高くない状態なのに、いつも通りに降圧薬を飲むことで血圧が下がりすぎてしまうことがあるのです。
そうなれば脳梗塞のリスクも上がりますし、ふらついて転倒などしたら大問題です。
こうした事情をまとめると、高齢者の場合、降圧治療のメリットが少なくなるのと、治療自体が難しくなるという2つの理由で、血圧は「若い世代+10」程度の余裕をもってコントロールするのがいいでしょう。