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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

高血圧で注意すること




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高血圧は完治ではなく持続的な調節を目標として治療を行う疾患であり、薬物治療、生活習慣改善により生涯にわたり合併症やそれによる死亡危険を予防管理するべきです。

合併症のない高血圧患者   130/85mmHg 以下
糖尿合併のある高血圧患者   130/80mmHg 以下
腎臓疾患を伴っている高血圧患者 尿蛋白 1g/日以下 130/80mmHg 以下
  尿蛋白 1g/日以下 125/75mmHg 以下
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生活習慣改善と薬物療法を並行して実践することが重要です。
- 生活習慣改善
血圧があまり高くなく、高血圧合併や危険因子がない場合。

- 薬物療法(生活習慣改善を同時に実践)
生活習慣改善の後も収縮期血圧が140mmHg以上か、又は拡張期血圧が90mmHg以上の場合。
合併症あるいは危険因子がある場合。

※考慮するべきリスクファクター
動脈硬化危険因子 喫煙、高脂血症、糖尿、60歳以上の男性、閉経以降の女性、
家系に心血管患者がいる方
標的臓器の損傷及び心血管疾患 心肥大、冠状動脈疾患(狭心症、心筋梗塞症)、心不全、脳血管疾患、腎不全、末梢動脈疾患、動脈硬化性網膜疾患
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禁煙、体重調節、食塩や飲酒量の摂取減少、適度な運動等の生活習慣を通して血圧管理を行いながら薬物療法を並行すると、投薬量を減らす効果をもたらします。
生活習慣は、個人の性格や習慣などと深く関係がありますので、患者が前向きに改善しようとする意志さえあれば治療できます。

1) 高血圧の食事療法 - 高血圧の食事療法は塩分、コレステロール、脂肪制限及び体重調節により行われます。

① 食べ物を甘くして食べます。

② 動物性脂質、コレステロールの多い食品を控えます。

*コレステロールの多い食品:動物の内臓部分、卵の黄身、うなぎ

③ 次は適量摂取食品です。
*サラダオイル、卵白
*とりささみ、魚、とうふ、大豆マーガリン
*果物

④ 野菜や雑穀、豆、海草、青いのり等の摂取は便秘の予防に効きます。

※ 多量の塩分摂取と血圧上昇の関係
塩の中にはナトリウム(Na)という成分が含有されています。塩をそのまま置いておくと、塩が湿っぽくなることが分かります。塩(ナトリウム)には水分を引き寄せる性質があります。

塩辛い食べ物を摂取すると?
血中のナトリウムの数値が上昇し、水分を引き寄せる性質があるナトリウムは体内の水分を血管の中に引き寄せて血量が増加します。血管の太さは同じものの血量は増加するので、血管が拡張し破裂しそうになります。
血圧とは、血が血管を押す圧ですので、血圧が上昇することになります。

⑤ 塩分と高血圧
- 血圧上昇効果
塩分は水分を引き寄せる性質があるので、この性質により体液量が増えて心臓への負担を増加させるとともに、血管への圧力を増加させます。また、体液の増加は血圧調節機能のある腎臓の活動を促進しますので、
腎臓に負担をかけます。

- 年配の方、高血圧、糖尿患者
塩分に敏感で、同じ量を摂取しても一般成人より血圧上昇率が大きいです。

- 血圧の塩分制限効果
平均的に、最高血圧5mmHg、最低血圧3mmHgの減少効果が明らかになっています。

- 摂取推奨量
年齢及び性別での違いもありますが、一般的に食塩6gで、食塩の制限は時には薬物療法より効く場合あります。
塩分は食塩だけでなく調味料、ベーキングパウダー等にも多量に含有されています。

⑥ 食品別の塩分含量(g)-(5訂食品製品表より抜粋)
食品名目安量塩分量食品名目安量塩分量
生ラーメン
茹でうどん
食パン
かまぼこ
さつま揚げ
焼きちくわ
はんぺん
塩鮭(塩ます)
干物(あじ)
シラス干し
たらこ
塩辛(イカ)
ソーセージ
魚肉ソーセージ
ぬか漬け
1玉
1玉
6枚切り1枚
1切れ
1枚
1本
1枚
1切れ
1枚
大さじ1杯
1腹
大さじ1杯
1枚
1本
2切れ
1.2
0.7
0.8
0.3
1.1
2.1
1.5
4.6
1.5
0.3
2.3
1.4
0.5
2.1
0.4
べったら漬け
梅干し
たくあん
6Pチーズ
マヨネーズ
バター
トマトケチャップ
ドレッシング
ノンオイルドレッシング
しょうゆ
味噌
甘味噌
ウスターソース
中濃ソース
ポン酢
1切れ
1個
1切れ
1枚
大さじ4杯
大さじ1杯
大さじ2杯
大さじ3杯
大さじ1杯強
小さじ1杯
小さじ1杯強
大さじ1杯弱
小さじ2杯強
大さじ1杯強
小さじ2杯
0.2
2.2
0.4
0.7
56
0.2
30
30
14
5
8
16
12
17
10

*普通のおかず類(スープ、味噌汁、野菜の和え物、煮物等)には1種当り約1.5gの塩が含まれており、サラダ等のおかずには1種当り約1gの塩が含まれています。


塩分の量は一日の総摂取量及び、一回の摂取量が重要になりますので、家庭で塩辛くないように調理して食べる習慣をつけることをお勧めします。

2) 血圧と体重減少

体重増加は脂肪組織等の体内の組織を増加させるため、酸素や養分等の消費量も多くなります。
この増加需要を満たすために心臓はより強い圧力で収縮し、血圧が上昇します。統計によると、高血圧患者の体重減量は薬物の投薬量を減少させることができ、過体重の女性が5~10kgを減量すると15%の高血圧のリスクが減少、10kg以上減量すると25%のリスクが減少するそうです。

肥満の高血圧の発病率:健常人の2~6倍
肥満の高血圧患者の体重減量効果
10kg減量:最高血圧25mmHg、最低血圧15mmHg減少
5kg減量:最高血圧10mmHg、最低血圧5mmHg減少
2kg減量:最高血圧 2~3mmHg、最低血圧1mmHg減少
子供、青年層:体重減量だけで高血圧が正常血圧になった例もある。


インシュリンは塩分、水分を引き寄せる性質がありますが、健常人よりインシュリンの分泌量の多い肥満の全体循環血液量は増加する傾向があり、血圧が上昇することがあります。
肥満は体脂肪率(Percent of Body Fat)、体格指数(B.M.I.)、肥満度(Fatness)により診断を行い、当社の体成分分析器シリーズで簡単に体脂肪率を測定することができます。

3) 血圧と運動

適度な運動により5~10mmHgの血圧を減少させることができ、緊張緩和・ストレスの解消にも役立つので、高血圧治療に 有効といえます。
しかし、高血圧の方は必ず専門家の立会いのもと、医学的検査と運動負荷検査を行って運動能力を測定し、自分に合った 運動の種類と強度を決定することで、心臓発作を予防すると良いでしょう。

① 運動前にさらに事前確認が必要となる場合
- 血圧が160/100mmHg以上の場合
- 心臓、肺、腎臓に疾患がある場合
- 糖尿や関節炎がある場合
- 胸痛や呼吸障害、目まいを経験したことがある場合
- 自分の健康状態に自信がない場合

② 運動は週当たり3~4回で心肺機能を維持及び強化
運動初期は運動時間を15~45分に設定することが望ましく、慣れてきたら徐々にに1時間まで延ばします。
一回の運動で200~300kcalのエネルギーが消費される運動が効果的で、運動の前後は準備運動及び整理運動をそれぞれ5~10分ずつ行います。

③ 運動の種類

*ウォーキング : 高血圧はもちろん合併症を持っている患者さんにも効果的で最も適切な運動です。
自分の心拍数と比較してスピードを調節します。

*ジョギング : 心肺機能を向上させますが、運動の際目標心拍数を越えないように注意します。
また、筋骨格系への傷害危険があり、末梢神経障害や網膜症がある場合は控えます。

*水泳 : 水中体操、水中ウォーキングとともに強度は高くありませんが心血関係に刺激を与える運動で、高血圧患者や関節炎等の筋関節系に疾患がある方にも効果があります。

*自転車に乗る : ウォーキングと同様の運動効果があり、筋関節系への傷害を予防することができます。
また、衝撃が少ないため網膜疾患の患者にも効果があります。

*その他 : ゴルフ、ボーリング等、一日に200~300kcalのエネルギーが消費できる運動を自分に合わせて行います。


運動種類別の100kcalの消費時間
運動の種類100kcalの消費時間運動の種類100kcalの消費時間
剣道 7分30秒 ゴルフ 17分
縄跳び 10分 階段昇り 18分
水泳 11分 30秒 美容体操 19分 30秒
テニス 13分 30秒 卓球 21分 30秒
スキー 15分 自転車に乗る 23分
ボーリング 15分 体操 30分

④ 運動時の注意事項

高血圧は心血管系疾患であり、運動をすることで心血管系に負担を掛けて予想できない事項が生じる可能性があります。
従って、高血圧患者は運動時に健常人より注意を払わなければなりません。運動による不意の事故には、心臓壁の血栓剥離、心臓発作、脳出血、脳塞栓、脳循環障害等があります。運動は誰でも血圧増加を伴いますが、次の場合は運動の強度を低くするか、又は運動を中止し、診療を受けることを推奨します。

- 息苦しい場合
- 呼吸障害がある場合
- 胸に痛みを感じるか、又は痛みが首、肩、背中まで広がる場合
- 心拍動が速過ぎるか、又は不規則な心拍動を感じる場合
- 目まいがするか、又は吐き気がする場合

*寒い日に運動をする場合は、暖かい服装で運動を始める前にストレッチと準備運動を十分行います。
全ての運動は血圧を上昇させますが、特に重量運動は急に腹圧を増加させて血圧上昇を誘導するため、高血圧患者は控えた方が良いです。

4) 禁煙
ニコチンは喫煙開始10秒以内に脳に作用します。ニコチンは、アドレナリンの分泌を促進して血管収縮を起こすことで血圧を上昇させますが、連続で二本のタバコを吸うと血圧が平均10mmHg上昇した状態が30分間続きます。
また、喫煙は血圧降下剤の効果を減少させるため、投薬容量が増えることになります。

5) 飲酒
高血圧、脳卒中の発生率を高め、心臓と血管の収縮作用及び血圧降下剤の効果上昇作用により副作用を起こすことがあります。

一日に男性30g(女性20g)以上のアルコールの摂取
- 高血圧や脳卒中の発生率を高め、過飲はアドレナリンの分泌を促進して心臓興奮と血管収縮作用をすることが明らかになっています。

飲酒と血圧
- 毎日35~40gのアルコールを摂取している方の飲酒量を80%減らすと、1~2週間に収縮期血圧は5mmHg、拡張期血圧は 3mmHg減少します。

アルコールと血圧降下剤の薬効
- 血圧降下剤の服用中には少量のアルコールも制限します。
 アルコールの血管拡張作用と血圧降下剤の相互作用による突然な血圧下降、心拍動が遅くなる副作用を起こすことがあります。

高血圧患者の飲酒の上限(飲酒量は下記の量を超えないように注意を払い、それ以下でも毎日飲まないようにする。)
1日30gとした場合
- 焼酎(85cc)、洋酒(75cc) : 1杯(水割り)
- ビール(666cc) :大瓶1本
- ワイン(250cc) :グラス2杯

6) ストレス
- 血圧上昇機転 :交感神経を興奮させて血圧が上昇します。音楽を聴いたり、絵画鑑賞、瞑想等ともに十分休息をとります。

7) その他の生活習慣改善療法

①規則正しい生活
②ぬるま湯 (39~40℃)で10分以内の入浴
③便秘予防

痙攣性便秘は、大腸を刺激すると悪化するため喫煙、繊維質、カフェイン、牛乳等を避け、ミネラルウォーターや刺激の少ない食べ物を摂取します。また、弛緩性便秘は、弱くなった腸運動が原因で大腸運動を促進する繊維質、お冷、適切な量の脂質を摂取するとともに、毎朝規則的に排便をするようにします。
④住居環境の調節
脳卒中や心筋梗塞症の発作は平均気温0℃以下、又は30℃以上のとき、日較差が10℃以上のとき起こりますので、室内外の温度差に注意します。特に、冷房は23~25℃、外部との気温差は5℃前後に、そして暖房は18~20℃、湿度は60%前後になるように調節します。冷暖房の際は、風呂やトイレも温度差がないように注意します。

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血圧降下剤の種類は様々であり、個人によって異なった作用をします。
従って、該当患者に最低容量で最低血圧を90mmHg以下に下げられる薬物を探すことが重要です。
全ての高血圧患者はまず、非薬物療法(生活習慣改善)から行います。

高危険群A :
 血圧は正常もしく高血圧であるが、合併症がなく、喫煙や高脂血症のような合併症の危険因子のない方
高危険群B :
 心臓や腎臓の異常等、高血圧による合併症はないが、心臓血管系の疾患を起こす危険因子を持っている方
高危険群C :
 心臓病や脳卒中を起こす危険が高い、または既に心臓血管系の疾患、あるいは糖尿病を患っている方

<高血圧の治療段階>
血圧 (mmHg)高危険群A高危険群B高危険群C
高値正常範囲
(130~139/85~89)
生活習慣改善 生活習慣改善 薬物治療+生活習慣改善
1段階高血圧
(140~159/90~99)
生活習慣改善
(12ヶ月まで観察)
生活習慣改善
(6ヶ月まで観察)
薬物治療+生活習慣改善
2、3段階高血圧
(≥160/≥100)
薬物治療+生活習慣改善 薬物治療+生活習慣改善 薬物治療+生活習慣改善

(参考文献:National Institutes of Health. The Sixth Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection,Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure. 1997)

一般的に、血圧が150/90mmHgで、現在合併症がなく、喫煙や高脂血症のような危険因子がなければ、生活習慣改善療法を行い、12ヶ月後に薬物治療の必要性の有無を決定します。喫煙や高脂血症のような危険因子を持っている方なら、まず生活習慣改善療法を行って6ヶ月間様子をみて、投薬の有無を決定します。また、危険群Cに属するなら、生活習慣改善療法と同時に薬物療法も共に施行します。ただし、これらの過程は医師と相談の上行わなければなりません。
医師の指示のない投薬や治療指針は患者の状態を悪化させる 恐れがあります。








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