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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

爪先立ちと爪先歩きの勧め


これは、健康の上で案外重要な記事だと思う。

1)靴は紐をしっかり結んで履く。(靴はゆるゆるに履かない)
2)靴を履いていない時は爪先で着地するように歩く。

この2点は、合理性があるのではないか。
1)は、西洋人の靴の履き方であり、正しい履き方だろう。西洋の小説や映画などを見ても、彼らが靴をきっちりと履く描写がある。だからこそ、ベッドの上に靴のまま寝転ぶという、不衛生な行動も生じるのである。
2)は、動物の足の構造を見ても、爪先着地が正しいことが分かる。四足動物の後ろ足が人間の脚に相当するが、それは、「足」の部分が長くなり、その爪先部分が人間の「足」に相当するのである。つまり、四足動物は人間で言えば、日常的に爪先で歩き走っていることになる。それであれほど俊敏な動作ができるのである。人間は直立歩行をするうちに大腿部が長くなり、走る速さが四足動物よりはるかに落ちた。実は人間でも、ジャンプする時には爪先で地面を蹴っている。踵を着けたままジャンプすることは不可能である。踵を地に着けるのは、「立ったまま休息している」のと同じであるわけだ。運動不足の現代人だと、それが健康に良くないのは自明だろう。
運動不足の人は、靴を脱いでいる時(家の中にいる時)だけでも爪先立ちと爪先歩きを習慣にすることをお勧めする。

写真:gettyimages © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 写真:gettyimages

「江戸時代の飛脚の足が速かったり、ごく普通の人が1日に10里(約40キロ)も平気で歩いていたのには、ちゃんと理由があるんです。特別な体力や才能があったわけではありません」

 総合格闘家の草分け的存在で、都内や千葉県で武術道場「ストライプル」を主宰する平直行さん(55)はそう語る。さまざまな格闘技やトレーニングを経験したのち、12年ほど前から古武術の柳生心眼流(やぎゅうしんがんりゅう)を学んでいる平さんは、古きを温めていろんなことに気づいた。

 飛脚を描いた絵や写真を見ればわかるが、彼らは信書や為替などを入れた文箱を棒にくくりつけ、それを肩に担いでいる。

「単なる棒でもいいから、肩に担いで歩いてみてください。背筋がピンとなるでしょう。これだけで無意識でいい姿勢で速く移動できます」(平さん)

 では1日40キロ歩行を可能にしたのは何か。

「ちょっと使えばすぐに壊れる草鞋なんて履いていたのは金持ちや大名ぐらいで、庶民は普通は裸足で歩いていた。裸足で歩く場合、かかとから着地すると痛いので、自然と足先(母指球付近)で歩くようになる。やってみればわかりますが、それだけで一歩がかなりのびます」(同)

 当時は「食べ過ぎで運動不足」のような概念とは無縁の人がほとんどだ。エクササイズ目的で歩く人などいないから、代謝を抑えた無駄のない動きが身についていたのだろう。しかし、現代日本で素足でアスファルトを歩いて通勤するわけにもいかない。平さんはこう続ける。

「舗装道路を歩くのに適しているのは靴であり、素足はもちろん、草履や下駄も適しません。古くから街に石畳を敷き、室内でも靴を履いてきた欧州では、靴で正しく歩く文化が定着しています。日本人は革靴でもスニーカーでも履く時に楽なように紐をゆるゆるにしがちですが、あれはダメなんです。欧米人は靴を履き直す際、いちいち靴紐をちゃんとゆるめてからしっかり締め直します。これだけで、姿勢良く歩けるようになります」

 普段は靴紐をしっかり結び直して背筋を伸ばし、休日には公園の芝生の上を素足で歩いてみてはどうだろう。(編集部・大平誠)

※AERA 2019年5月27日号




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