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青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳
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生物の「安定」と「不安定」 生命のダイミクスを探る
幹細胞の活性化と不活性化
老化の研究では20世紀半ばから、血液に関して非常に興味深い研究が行われてきた。それは若い個体と老いた個体の血液を交換するという実験である。
ややセンセーショナルにも聞こえるが、この実験は近年も繰り返されてきた。マウスやラットの若い個体と老いた個体とで、互いの血管を縫合して血液を循環させてしまうのである。この実験手法をパラビオーシス(parabiosis)という。
老いたほう、つまり若い血液を入れられたほうは、筋肉や肝臓の幹細胞の活性があがった。また、神経細胞の新生する数を数えると、老いた個体では新生数が上がり、若い個体では新生数が下がるという結果も出た。傷の治りが早まる、細胞が新生するなどの変化が観察されたのである。
端的に言えば、老人の体に若者の血を入れたら老人が若返ったということである。これほどわかりやすく人目を引く研究はそうあるものではない。ここで示唆されたのは、血液中に他の組織の幹細胞を活性化する何らかの物質が含まれているということである。血液中に含まれることから、これを液性因子と呼ぶことがある。
この実験で対象となった傷とは骨折であった。骨折を治すのは骨を作る骨芽細胞である。骨芽細胞は幹細胞ではなく、間葉系幹細胞が分化したものである。早く骨折を治すには、骨芽細胞を増やす必要があるが、そのためには間葉系細胞を活性化しなければならない。
老化とは幹細胞の不活性化であると先に述べたが、若い血を入れられた個体の骨折の治りが早まったのは、この間葉系幹細胞の活性化が起こり、さらにかつが細胞の増加が起こったからである。若い血に含まれる活性化物質は、ある種の液性因子(血漿の中の生理活性物質)であるとみられる。そして、間葉系幹細胞を含むはずの骨髄を移植することによっても、同様に骨折の治りが早くなることがわかった。ただしそれが具体的にどの液性因子であるかは不明のままである。
逆に、老いた血を入れられた若い個体では認知機能が弱まった。これは、老いた個体の血の中に、神経細胞の新生を抑えるような物質が含まれているためと考えられた。
(以下省略)
ヘンリー・キッシンジャー博士である。94歳にもなったというのに、いまだに世界中を旅している。
恐竜目を持つ男ジョージ・ソロスである。