2019年9月末から10月にかけ、毎日新聞は6回にわたり白石隆浩被告(29)と拘置所で接見した。白石被告との主な一問一答は以下の通り。
筋トレと写経の日々、読書は1000冊以上
▽19年9月27日(1回目)
◎接見予定は午前9時だったが、「(白石被告が)運動しているので遅れる」というアナウンスがあり、10分遅れで接見が始まる。白石被告の髪の毛は肩まで掛かり、口ひげとあごひげを少し蓄えている。
結婚申し込まれたことも
白石 <記者が自己紹介すると、机につっぷしながら>新聞社かあ(笑い)
記者 新聞社は被告に差し入れをしないから、そのリアクションですか? うちは接見のためにお金は渡せないんですよ。
白石 厳しいんですよね、新聞社さんって。どちらっておっしゃいました?
記者 毎日です。
白石 えーと……他の記者が、前に何度も来てくれてたんだけど、全部接見を断ってて申し訳ないなあって思ってたんです。会う機会があったら一言謝っといてください。信頼関係が大事ですから。
記者 はい。それにしてもずいぶん髪が伸びた。
白石 拘置所とか留置場、入ったことあります? 寒いんですよ。坊主なんかにしてたら死にますよ。留置の時のことを言うとね、空調がすごいんです。夏は22度のクーラー、冬は28度の送風。私は今部屋に帰ったら長袖とか着ますよ。何か悪さをして、こういうところに入ったら、白石がそんなこと言ってたなって実感すると思いますよ(笑い)
記者 いろいろ聞かれてきたと思うが、今の心境は?
白石 あー、そこは有料コンテンツかなあ(笑い)。信頼関係できたら答えてもいいですけどね。
記者 差し入れという意味で?
白石 そうそう。
記者 事件のことはNG?
白石 そうですねー、やっぱりそこは。こっちもお金とかお菓子とかほしいんで。
記者 なるほど。随分体つきが変わったようだが?
白石 気づきました? それを言われるのが一番うれしい。今めっちゃ筋トレしてるんですよ。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」って本を読んで、やってるんですよ。なんでって、今の生活って、起きて、飯食って、また飯食って、また飯食って寝る。その間は本当に自由でヒマなんですよ。だから体を鍛えてるんですよ。
記者 ほかには?
白石 写経もめっちゃしてます。般若心経とか。
記者 なぜ写経を?
白石 だからヒマなんですよ。ほんと、どうやって時間つぶそうかって、だから筋トレやるか、ひたすら写経するか、です。あと本もめっちゃ読みました。1000冊以上読みました。なんかオススメあります? 差し入れしてくださいよ。
記者 ………。今拘置所にいますけど、後悔とかないのか?
白石 そりゃありますよ。たまに週刊誌の記者とかが雑誌を差し入れしてくれるんですよ。もっと遊びたかったなーとか、グルメのページ見たら、もっとうまいもん食いたかったなーとか、そりゃそこはやっぱり後悔しますよ。
記者 面会に来る記者は多い?
白石 最近はぱったり。8月までは週に1回あるかないか。9月になって記者さんがちらほらきますけど、一般の人は来なくなりましたね。今年の4月くらいまでは来てました。男も女も。男性は「事件のことを教えてください」。女性は「あなたが好きです」とか「結婚してください」とか。結婚してもよかったんですよ。定期的に差し入れや金銭的な支援をしてくれるなら喜んでって感じですよ。でも、来なくなっちゃったんです。多い人で4、5回来てくれたけど、来なくなっちゃいましたね。
記者 もう時間切れ。また来ます。
白石 待ってます。けっこう面会の時間って貴重な気分転換なんですよ。
ツイッターはめっちゃ便利
▽19年10月2日(2回目)
◎前回は拘置所での生活を冗舌に話すものの事件について何も語らなかった。2回目の接見では子ども時代や、逮捕時の心境を尋ねた。白石被告は独特の表現で語り始める。
子ども時代は根暗でゲームばかり
記者 どんな子ども時代だった?
白石 一言で言うと、根暗で友達は本当に少なかったですね。一人でプレーするRPGのゲームが好きで、女神転生シリーズやドラクエモンスターズとか、ずっとやってました。友達と遊んだり、部活をしたり、誰かと付き合ったりするよりもゲームが好き過ぎて。部活よりもRPGを一人でやりこみたいって感じでした。高校生のころは、友達と2回ゲーセンに行ったかな。あと2回友達の家に行って、友達が1回僕の家に来ました。それくらいです。
記者 部活は?
白石 中学では野球を1年やって、そのあと陸上。高校の頃は柔道部でした。でも1年でやめて、2年からバイトを始めました。ホームセンターなどです。でもなぜバイトをしていたかって、ゲームを買いたいからです(笑い)。逮捕されたとき、というか警察がうちにピンポンしたときですけど、その時はスマホでマージャンのオンラインゲームをやってましたね。
記者 逮捕は怖くなかった?
白石 怖くはなかったですよ。これは刑事さんの取り調べで言われましたが、ある種の才能だそうです。そういう状況に耐性があるみたいです。例えば普通であれば、心が負けて自首する人が多いんですって。私は自首なんて全然思いませんでしたね。逃げ切れると自信満々でした。
記者 なぜそう思えた?
白石 どこまで話そうかなあ(笑い)。実は、私、茨城で1回捕まった時に学んだんですよ。あの時逮捕されて、たくさん証拠を示されたんですけど、どうやって足取りをつかんで、何が証拠になって……ということを刑事さんが一から説明してくれたんです。だから警察のやり方は知っているつもりでした。
記者 今回の事件ではツイッターを多用したが。
白石 めっちゃ便利でしたよ。なぜツイッターに目をつけたかというと、ツイッターで風俗の求人に応募する子って多かったんですよ。そこで、ツイッターで人や情報が動くんだって実感できて、これは使えると思ったんです。
自殺願望がツイッターでつぶやかれていましたが、要は話を聞いてほしい、ということです。「会うの楽しみです」ってメッセージを送ってくるんですよ。当時「死にたい」って女の子がつぶやくと、男が群がってくる状態だったんです。自分以外にも狙ってる人がいて、奪い合いでした。ノウハウを使って魅力的な男性を演じたし、悩みがあるなら聞いてあげました。
記者 時間切れみたいです。(つづく)