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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

生存者バイアス

「いつか電池が切れるまで」から記事の一部を転載。
心理学的に興味深い内容である。

(以下引用)


 金持ちが貧乏人に厳しい言葉を吐いて叩かれている、のかと思いきや、実際にネットで批判されているのは、「自分だって若い頃に貧しくてつらかったけれど、こんなにがんばって今は成功した。だからお前にだってできるはず。努力が足りないだけだ」という感じの「生存者バイアス的な発言」をする「つらい目にあってきた人」が多いのです。


fujipon.hatenadiary.com


この本のもとになったNHKの番組のなかで、「健康格差」についての討論が行われたそうなのですが、そのなかで、俳優の風間トオルさんがこんな発言をされています。風間さんは5歳のときに両親が離婚し、その後、父親も失踪してしまい、祖父母のもとで育てられたそうです。

 (風間トオルさんの)著書『ビンボー魂』(中央公論新社)には、小学校時代「学校が休みになる=学校給食にありつけない」や「中でも空腹との長く厳しい闘いが強いられる夏休みをどうやって凌ぐかが大問題」と書かれている。そんな時、風間さんは家の前の公園に生えている、草やタンポポアサガオを食べたりして飢えをしのいだ壮絶な体験をされている。


「国の力を借りるのは最後の最後じゃないでしょうか。国が一律で何かすることでもないですし、個人が自分で努力して解決することじゃないでしょうか。僕なんかも子どもの時、貧困というか、お金がなくて、公園の草とか食べて飢えを凌いでいました。草の匂いをかいだり、口に入れながら、『これはいける』『これはいけない』って判断していました。そうやって努力して空腹を満腹にしてきた。だから、高齢になって動けなくなった時に初めて、国の力を借りることが許されるのかなって思いますけどね……」


 ギリギリのところ、厳しい状況から自分が努力して抜け出した人ほど、社会保障を受ける他者に対して厳しい態度をみせる、というのは、けっこうありがちです。
 自分は頑張って克服したのだから、みんなできるはずだ。
 あるいは、自分だけが苦労したのでは、割に合わない、って。

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