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独楽帳

青天を行く白雲のごとき浮遊思考の落書き帳

「レ・ミゼラブル」は現代で日常に生じる話

法と倫理の境界線上の事例で、この最高裁の判決は非常に面白い。ただし、これはいわば「緊急避難」の事例であり、「カルネアデスの板(舟板)」の法的思想なのである。杓子定規な法解釈はしばしば人倫(人情に基づく道徳)に背くことになる。かと言って、金額的に小さい窃盗は逮捕しないという、アメリカ某州(カリフォルニアだったか)の決定は、馬鹿の骨頂だろう。
要するに、困窮者を救う手段が不十分だから、緊急避難の窃盗が生まれるという話だ。新自由主義の跋扈で切り捨てられてきたのがそういう社会のセーフティネットである。

(以下引用)

食品万引きの男性に無罪判決、「必要に駆られた行為」 伊

イタリアの裁判所が必要に駆られての食品の万引きは犯罪に当たらないとの判決を下した

2016.05.06 Fri posted at 12:26 JST

(CNN) 必要に駆られて少量の食品を盗むことは犯罪には当たらない――。スーパーで食品を万引きして窃盗の罪に問われたホームレス男性の上告審で、イタリア最高裁がこのほどそんな判決を言い渡した。

ウクライナ国籍のロマン・オストリアコフ被告(36)は2011年にスーパーマーケットでソーセージとチーズ4.07ユーロ(現在のレートで約500円)分を盗んだとして窃盗罪に問われていた。

レジでは盗んだ食品を上着の下に隠してパンの代金のみを支払っていたが、別の客が店員に告げたことから盗みが発覚し、警察に逮捕された。

2013年の一審では窃盗罪で禁錮6年と罰金100ユーロの有罪判決を言い渡し、15年の控訴審判決も一審を支持した。

しかし最高裁はこの判決を覆し、必要に駆られて少量の食品を盗む行為は犯罪には当たらないと判断。「被告人は緊急かつ不可欠だった栄養摂取のために少量の食品を手にした。従ってこれは必要性に駆られた状況における行為だった」と認定し、無罪を言い渡した。

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